お知らせ

◇北方謙三氏をお招きし東京毎友会定期総会

第69回定期総会・懇親会 平成30年10月30日 開催記録

 「高年齢の方が多い中での講演は初めてですよ」と笑わせて、あの大作家・北方謙三さんの講演で始まった東京毎友会の第69回定期総会・懇親会。10月30日、会場の本社9階の「アラスカ」には平均年齢78・2歳の会員91名。

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毎友会事務局からのお知らせ

・毎友会(東京)の「メール・アドレス」変更のお知らせ

 

 毎友会(東京)は平成27年9月1日から「メール・アドレス」が次のように変わりました。
旧: mainichi@m-maiyukai.com   新: maiyukai@hotmail.com
お間違いにならないよう、よろしくご協力の程、お願い申し上げます。

・毎友会(東京)業務の一部を総務部へ委託について

 毎友会(東京)は、9月1日から事務局業務の一部を毎日新聞東京本社総務部に委託しました。東京本社5階の毎友会ルームに常駐の事務局員は不在です。部屋は引き続き毎友会で使えますので、ご希望の方は同じ5階の総務部にその旨申告して下さい。また、日常の毎友会会員の問い合わせなどはホームページ記載のメール・アドレスでお送り下さい。毎友会運営委員からお答えします。但しお急ぎの場合には総務部に直接お問い合わせ下さい。
(平成25年8月28日 毎友会運営委員会)

各地域会合、同好会、イベントなど予定のお知らせ

「毎友会カフェ」のお知らせ

 下記の日程で「毎友会カフェ」を開きます。現役の方も休憩時間などをご利用になってぜひお越し下さい。お待ち申し上げております。(お飲み物などを用意しています)

日 時:11月15日(木)正午から午後5時30分まで
場 所:5階 毎友会事務局(社史社報編集室及び経理局入り口の向かい側)
幹 事:毎友会運営委員 松下禮子

・・・

 「河西瑛一郎氏を偲ぶ会」を、日本山岳部高尾の森つくりの会(代表 吉川正幸氏)が開催をします。

日 時:平成30年12月16日(日)午後1時〜
場 所:八王子エルシー(電話:042-623-2111 八王子市八日町6-7)
会 費:5,000円
連絡先:小山圭司事務局長(電話:090-8500-2626)

毎友会同人の新刊紹介(自薦、他薦を問いません。約200字)

2018年11月26日

『新聞記者 山本祐司』(水書坊刊、税込3、500円)の刊行

 2017年7月22日に亡くなった元・社会部長(東京)山本祐司さん(享年81)の遺稿集が2018年11月20日に刊行された。幼くして文才発揮となった早稲田中学時代の作文から、早大童話会での創作ノート、そしてロッキード事件で頂点を極める司法記者としての記事・論考の数々、さらには脳出血で半身不随となりながら驚異の復活でものにした左手書きの著作、次いで晩節全うし手塩にかけたルパン文芸での作品群など、加えて、幼き日のやんちゃから司法記者の取材現場を生々しく写し取った日記、および通史、著作全目録、217人からの追悼一言集も収め、566ページの大部となった。「人間万歳」「巨悪を眠らすな」「居眠狂四郎」等々の自他称形容句そのままの半生を彩る人間記録ともなっている。

 編纂・刊行にあたったのは、故人と入社同期(1961年)、並びに司法記者クラブで同席した仲間たちの有志。はじめ「山本祐司遺稿集期成協力会」の名で広く呼びかけ、最終的には「新聞記者 山本祐司」編纂・刊行の会、と名乗った。会としては、出入り自由で、出来る奴が出来ることをする緩い組織だったが、結果として、天野勝文、今吉賢一郎、大住広人、今江惇、藤元節、勝又啓二郎、野村修右、高尾義彦が常連として携わり、事実上の編集委員会を形成している。

 さらに、立上げにあたって基金協力を呼びかけたところ、毎日新聞内外の119人から、ほぼ本体製作費に見合う額が寄せられた。故・山本祐司の徳とするところであると同時に、この席をかり、刊行の会として、改めて御礼申し上げる。ありがとうございました。

 発行元は、人間形成ものに理解深い「水書坊」に依頼したが、実質上は、製作共々毎日新聞グループ「毎栄」(社長・小泉敬太)に引き受けて頂いた。箱入り装幀の400部。別刷8ページの写真グラフも添えている。原価計算から定価3,500円(税込み)としたが、市販はしない。購読注文歓迎で、問合せ共 (大住) (高尾)090-1500-8740(高尾)へ。

(記・大住広人)

2018年11月10日

釈徹宗、細川貂々、毎日新聞「異教の隣人」取材班著『異教の隣人』

釈徹宗、細川貂々、毎日新聞「異教の隣人」取材班著『異教の隣人』

 毎日新聞11月11日付「今週の本棚」で紹介された。

 記事は、大阪本社朝刊「めっちゃ関西」に昨年3月まで連載された。

 取り上げたテーマは――。イスラム教モスク、ジャイナ教寺院、台湾仏教寺院、ユダヤ教シナゴーグ、神戸市立外国人墓地、キリスト教(カトリック)修道院、シク教寺院、キ リスト教(カトリック)ペルーの祭り、ベトナム仏教寺院、ヒンズー教大阪アーユルヴェーダ研究所、韓国・キリスト教(プロテスタント)の教会、日本人女性イスラム教徒、ブ ラジル・キリスト教(プロテスタント)の教会、神戸の華僑、女性イスラム教徒のファッション、イスラム教ラマダン明け、東方正教会の聖堂、タイ仏教の「みとりの場」コプト 正教会の聖堂、イラン人イスラム教徒、朝鮮半島の民俗信仰、在日クルド人のコミュニティー、台湾・春節祭。

 発行元晶文社のHPの紹介――。異国にルーツを持つ人たちは、どんな神様を信じて、どんな生活習慣で、どんなお祈りをしているのか? イスラム教、ユダヤ教、ヒンドゥー教 からコプト正教まで、気鋭の宗教学者と取材班がさまざまな信仰の現場を訪ね歩いて考えたルポ。

 釈徹宗氏は、浄土真宗本願寺派如来寺住職。相愛大教授(宗教思想)。細川貂々氏は、漫画家・イラストレーター。

 毎日新聞「異教の隣人」取材班は中本泰代(97年入社、現北陸総局次長)▽棚部秀行(98年入社、現東京本社学芸部副部長)▽花澤茂人(2005年入社、大阪本社学芸部)▽清水有香 (2006年入社、大阪本社学芸部)の4人。

(晶文社・1782円)

(堤   哲)

2018年10月24日

横山裕道著『原発と地球温暖化: 「原子力は不可欠」の幻想』

 元科学環境部長、論説委員の横山裕道さん(74歳)の新著。淑徳大学をことし3月に退職した後、執筆作業に当たった。

 横山さんのメール――。POD(プリント・オン・デマンド)という方式で、取次店を通さないため書店に並ぶことはありません。値段も少々高い(¥ 2,376)ですが、カラー版であるほか、第1章に、地球温暖化が高じる中で中国で原発過酷事故が発生するという架空ドキュメント「運命の2030年」を置くなど工夫しています。

 もしテーマに関心がありましたら、次のサイトをのぞいて見てください。

アマゾン(印刷版)のサイトは
https://www.amazon.co.jp/dp/4907625448/
グーグル(ダウンロード版=電子書籍)は
https://books.google.co.jp/books?id=q1hyDwAAQBAJ&pg
です。

 内容紹介にこうある。

 ――我々が石油や石炭、天然ガスを使用することによって起こる地球温暖化がはっきりと姿を現し始めたようだ。2018年夏は北極圏を含め世界を激しい熱波が襲った。日本では豪雨、猛暑、度重なる台風の襲来と異常ずくめの夏で、気象庁は「異常気象の連鎖だ」と認めたほどだった。世界が協力して温暖化を防止しようとパリ協定ができ、いまや温室効果ガスの排出削減を効果的に進めることは国際的に最重要課題となっている。

 そこで問題になるのが原子力だ。発電時に二酸化炭素(CO₂)を発生しない原発は「温暖化対策の切り札」と宣伝されてきたが、チェルノブイリ原発事故に続いて東京電力福島第一原発事故が起きたように原発は安全性の問題が大きな弱点になっている。「温暖化防止は原子力ではなく太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーで」という声が日増しに高まり、実際に再エネは急速に普及している。本書ではこうした問題を幅広く取り上げた。

 第1章に架空ドキュメント「運命の2030年」を置いた。温暖化が高じ、超大型台風が首都圏やニューヨークを襲う。世界で洪水や干ばつが頻発する中で、中国で原発過酷事故が発生する。原発は停止に追い込まれ、代わって石炭火力へのシフトが進み、CO₂濃度は急速に高まり始める。さあ、地球の運命は?という近未来のあり得る内容だ。避難を強いられた原発事故の被災者とこれからどっと出てくる気候難民を重ね合わせ、原発も「気候の暴走」もない未来をつくるにはどうしたらいいかという考察も行った。

 本書では原子力を厳しい目で見ている。一方で電力需要の増加への対応と温暖化対策を両立させようと原発に頼る中国やインドと、原発事故への反省もないまま再稼働に走る地震国日本の置かれた事情は異なることを十分意識した。強固な「原子力ムラ」が存在する日本を含め世界の脱原発がそう簡単には進まないことにも言及した内容になっている。

(堤  哲)

2018年9月15日

岩尾光代著『姫君たちの明治維新』(文春新書)

 元毎日新聞の大姉御の力作である。

――明治150年に贈る、幕末維新をきっかけに思いもしなかった苦労に見舞われた大名・皇族の姫君たちの物語。

 「サンデー毎日」に連載したものを加筆した。

 文春新書の内容紹介はこうある。

 深窓の令嬢どころか、堅固なお城の大奥で育った、正真正銘のお姫様たちも、維新の大波には翻弄されます。しかし、決してそれにめげることなく、それぞれの運命を逞しく生き抜いてもいきました。

 徳川家では、最後の将軍、慶喜の義理の祖母でありながら、淡い恋心を交わした一橋直子、また、そのとばっちりを受けた形の、正妻の徳川美賀。

 加賀百万石の前田家では、東大の赤門を作るきっかけとなった、将軍家から嫁入りした溶姫のさみしい晩年。

 九州の大藩、鍋島家では、新政府の外交官になった夫とともに、ヨーロッパに赴き、鹿鳴館の華とうたわれた鍋島栄子。

 篤姫や和宮など、メジャーどころはもちろん、歴史教科書には出てこない、お姫様たちの生涯は興味津々。

 とくに落城の憂き目にあった姫君たちの運命には、思わず涙します。

 なかでも、もっとも数奇な運命をたどったのが、四賢侯の一人、松平春嶽と侍女の子である池田絲。維新後の混乱で彼女は松平家の庇護を受けられず、なんと芸者に。そこで、お雇い外国人であった仏系アメリカ軍人と結婚。二人の間に出来た子が、明治の歌舞伎界の大スターである十五世市村羽左衛門! まるで小説のような物語がそこにあります。

 20人を超える姫君たちの物語にご期待ください。
       (本体980円+税、文芸春秋社)

(堤  哲)

2018年8月26日

佐々木宏人著『封印された殉教』上

 敗戦3日後の1945年8月18日夕、横浜市保土ケ谷区の保土ケ谷教会内でカトリック横浜教区長だった戸田帯刀(たてわき)神父が頭部を撃たれて死亡した。

 この事件を追った毎日新聞OB記者佐々木宏人さん(77歳)のノンフィクション。

 筆者の言葉にこうある。

 一人のカトリック・ジャーナリストとして「戸田帯刀神父射殺事件」を追いかけた。なんとか犯人を割り出し、その背景に迫りたいとの一念だった。多くの取材協力者の助けにより、事件の背後のうごめきが仄かに見えてきた。高まる軍靴の響きをものともせず、普遍の価値の下に「平和であれ」と説き、実践した一人の司祭と、それをとがめて銃弾を放った犯人…戸田師の遺志は、それを覆い隠そうとした勢力の意図にもかかわらず、営々として語り継がれ、生かされていたことが判った。取材者としてそのことが本当にうれしかった。独り勢い込んで重ねた取材・執筆にもそれなりの意味があったのではないかと、ペンを措いた今、実感している。

 

 サーさんとは、水戸支局で一緒だったが、カトリックの信者だったとは、知らなかった。
そのサーさんからの報告――。

新宿「紀伊国屋書店」に行ったら「H10」の「神学」コーナーに平積みされていました
95
毎日新聞19日の読書欄に広告も掲載されました

 「下巻」は9月中旬に発行予定です。よろしく。

(フリープレス刊、2000円+税)

(堤  哲)

2018年8月13日

篠田航一著『ヒトラーとUFO-ドイツの謎と都市伝説を追う

  ドイツには都市伝説が今もあふれ返る。ヒトラー、UFO、フリーメーソン、ハーメルンの笛吹き男……。ドイツの怪しげな話を追う。  平凡新書の案内である。

 8月12日付毎日新聞「今週の本棚」では――。

 好奇心旺盛で、子供の頃から伝説好きだったという、ある意味「変わり種」の著者が特派員としてドイツに派遣され、意外にも「一皮むけば実に噂(うわさ)好き」なドイツ人たちと出会い、独特の感性で社会を観察して行く。多くの要素が重なり、初めて生まれた希有(けう)な本だ。

 筆者は、現在毎日新聞カイロ特派員。早大政経卒、1997年入社。私が退職した年である。社会部で東京地検特捜部などを担当。ドイツ留学後、2011年から4年間ベルリン特派員だった、と略歴にあった。

(平凡社刊、760円+税)

(堤  哲)

2018年6月16日

大久保貞義著『自ら宿命を変える―続《人生の恩返し》』

 毎日新聞OBで獨協大学名誉教授の大久保貞義さん(83歳)が『自ら宿命を変える―続《人生の恩返し》』を出版した。

 その序――。《若い頃にアメリカからもらった〝返済不要の奨学金〟のおかげで、私は豊かな人生を送ることができました。その感謝の思いから、経営の第一線から退いた今、「ロイヤル福祉助成法人」を設立して若者と高齢者に恩返しする活動をしています》

 続く「はじめに」に、「なぜ若者に奨学金を贈るのか」。

 返さないでよい奨学金は、すでに12人に計1500万円が渡っている。

 大久保さんは、東大を卒業して1959(昭和34)年に毎日新聞に入社、政治部記者となった。在社中に米スタンフォード、プリンストン両大学の大学院に留学、67(昭和42)年、30歳で退社して、米議会の奨学生として議員の政策担当秘書を経験した。

 帰国して東海大学広報科助教授から獨協大学教授。在職中に介護付有料老人ホーム「ロイヤルハウス石岡」(茨城県石岡市)と「ロイヤル川口」(埼玉県川口市)を経営していた。

 一般社団法人「ロイヤル福祉助成法人」は、老人ホームを経営していたときの報酬を貯めて原資にしたもので「何億といった規模ではないんですよ。ささやかなお返しです」と大久保さんはいう。

(シニアタイムス刊、1,000円+税)

(堤  哲)

2018年6月11日

石寒太著『金子兜太のことば』

 金子兜太さんは、戦後俳壇のトップランナーとして70年間活動を続け、生涯現役のまま、2018年2月20日に98歳で逝去した。

 著者の石寒太さん(本名・石倉昌治)は、毎日新聞OBで、元「俳句αあるふぁ」編集長。兜太と同じ加藤楸邨を師に持つ俳人。兜太との長年の交流の中で胸に刻まれた言葉と俳句を選んで、解説している。

 内容紹介に以下の言葉があった。
 〝俳句があるかぎり、日本語は健在なり〟
 〝物事を成就させるのは、「運・鈍・根」ですね〟
 〝死ぬのが怖くないか? と問われたら、「死ぬ気がしなかった」と答えます〟

(毎日新聞出版社刊、1,500円+税)

(堤  哲)

2018年6月6日

『ベースボーロジー』第12巻

 野球文化學會論叢『ベースボーロジー』第12巻が発刊された。

 特集は、野球と音楽─応援歌の果たす役割─。慶應義塾大学名誉教授池井優さんが昨年12月9日、法政大学キャンパスで開いた野球文化學會第1回研究大会で基調講演したものだ。

 副題は「古関裕而と応援歌」。「紺碧の空」、「六甲おろし」、「栄冠は君に輝く」を中心に、とあるが、慶應の応援歌「若き血」の生まれた背景が詳しい。打倒ワセダ、「都の西北」を凌ぐ、元気の出る応援歌を! で、堀内敬三が作曲し、当時普通部3年の藤山愛一郎が歌唱指導をした。そして昭和2年秋の早慶戦で早大に連勝した。

 毎日新聞OBでは、松崎仁紀さんが「野球の起源」をめぐって―日米の研究成果を検証する▽アメリカ文学にみる野球の文化社会学的考察―『ベースボール傑作選』を読む④の2編。小生(堤哲)が「野球を育てた」記者たちの物語―毎日新聞人の野球殿堂入り列伝を発表している。

(啓文社書房刊、1,850円+税)

(堤  哲)

科学環境部・須田桃子著『合成生物学の衝撃』

科学環境部・須田桃子著『合成生物学の衝撃』

 女性記者の活躍が際立っている。STAP細胞事件を描いたノンフィクション『捏造の科学者』で大宅賞を受賞した須田桃子記者が出版した。

 内容紹介にこうある。

 2000年代初頭、マサチューセッツ工科大学に集まった科学者たちは、生物学を工学化することを思いつく。コンピュータ上でDNAを設計し、その生物を実際につくってみるのだ。「合成生物学」と呼ばれるようになるその学問はビル・ゲイツをして「もっともホット」な分野と呼ばれるようになる。企業が血眼になり、軍の研究機関が莫大な予算を投じる。そうした中、孤高の天才科学者が20年かけてついに人工生命体を作ることに成功する。
 ヒトまでも人工的につくる時代が来るのだろうか?

 最終章「そして人工生命体は誕生した」。ヒトゲノムを公的チームよりも早く読み切った孤高の科学者クレイグ・ベンターは「ヒトゲノム合成計画」を嗤う。「彼らは細胞ひとつすらくれないではないか」。そう、ベンターだけが、人工の生命体「ミニマル・セル」の作成に20年越しで成功したのだ。

(文芸春秋社刊、1,500円+税)

(堤  哲)

科学環境部長・元村有希子著『科学のミカタ』

『老いぼれ記者魂― 青山学院春木教授事件四十五年目の結末』

 第1回科学ジャーナリスト大賞を受賞した『理系白書』の元村有希子科学環境部長が書き下ろした科学エッセイ集。

 「AI、ゲノム、重力波――。知れば知るほど面白い、知らなきゃやばい科学の世界の読み解き方、教えます」と表紙にある。

 題名の「科学のミカタ」は、「見方」と「味方」をかけている。

 1989年入社。社会部などを経て2001年より科学環境部、昨年4月、部長に就任した。テレビでもおなじみで、毎週木曜日午後4時からインターネットで生放送「Mainichi Live」のMCもつとめる。

 「平安時代の京都でオーロラが見えた」から始まって、「AI兵器は許されるか」「ロボットと暮らす未来」「再生医療は希望か」などとあって、最後に「科学記者が未来を占う」。

 元村さんは、サンデー毎日4月15日号からコラム「科学のトリセツ」を始めた。第一回は「自動運転への希望とリスク」。こちらも愛読ください。

(毎日新聞出版刊、1,500円+税)

(堤  哲)

早瀬圭一著『老いぼれ記者魂― 青山学院春木教授事件四十五年目の結末』

『老いぼれ記者魂― 青山学院春木教授事件四十五年目の結末』

 東北大震災から7年目の3・11日曜日の朝、朝日新聞の読書面を見て、抜かれたと思った。早瀬圭一さんの『老いぼれ記者魂』が紹介されていたからだ。

 早瀬さんから「2月に鳥井さん(守幸元サンデー毎日編集長)を副主人公にした本を刊行します」というメールに、「毎友会HPで一番に紹介します」と約束したからである。

 青山学院大学の春木教授事件が起きたのは、1973(昭和48)年2月。早瀬さんは、社会部遊軍としてこの事件に関わった。

 早瀬さんはサンデー毎日に異動したが、事件発生から7年後、サンデー毎日は「春木教授女子大生暴行事件の〝陰謀〟」の特集記事を7週連続で掲載した。80(昭和55)年5月から7月にかけてで、仕掛け人は鳥井編集長だった。

 朝日新聞の書評の見出しは「電話番号突きとめついに直接…」。以下は、原武史放送大学教授(政治思想史)の評から。

 「人生の終わりが近づきつつある。最後に何をなすべきか――。こう自問した早瀬圭一の前に、改めて毎日新聞の記者だった時代に取材した一つの事件が浮かび上がる」

 「著者は、…都内の「名簿屋」を訪ねて元女子学生の出身校の名簿を入手し、ついに電話番号を突きとめ、事件から44年後、直接対話することに成功する」

 「そろそろ死んでもおかしくない歳(とし)です。その晩節に、私なりに春木事件の決着をつけたいのです」と迫る著者に対して、元女子学生は「それがあなたの記者魂ですか」と切り返す。結局、彼女は事件についていっさい語らなかったが、「記者魂」という言葉に著者は一瞬、不意をつかれる。

 とにかく推理小説より遙かに面白い、緊迫のドキュメントである。読んでみてください。

(幻戯書房、2400円+税)

(堤  哲)

青田孝著『ここが凄い! 日本の鉄道― 安全・正確・先進性に見る「世界一」』

『ここが凄い! 日本の鉄道― 安全・正確・先進性に見る「世界一」』

 筆者は、日大生産工学部機械工学科で鉄道車両工学を学んだ鉄道マニア。技術系から記者職に。『ゼロ戦から夢の超特急』、『箱根の山に挑んだ鉄路』、『蒸気機関車の動態保存』に続く交通新聞社新書4作目である。

 内容はHPによると――。国土の約3分の2を山岳や丘陵等が占めるなど、起伏に富んだ地形の日本は、決して鉄道敷設に恵まれた国とは言えない。しかし、長年にわたる技術の蓄積と、持ち前の勤勉さで、今日の鉄道王国を築き上げた。その象徴である新幹線は、世界初の時速200キロ運転を実現し、欧米諸国の鉄道復権をもたらした。高度な安全性、正確無比のダイヤ、そして朝夕のラッシュアワー輸送も、日本の高度な鉄道システムだからこそなせる『技』でもある。その『凄さ』を世界の鉄道と比べてみると…。世界48の国と地域の鉄道を体験してきた著者が、新幹線開業から半世紀を機に、あらためて日本の鉄道の今を考える。

(800円+税、交通新聞社)

(堤  哲)

仁科邦男著『西郷隆盛はなぜ犬を連れているのか: 西郷どん愛犬史』

『西郷隆盛はなぜ犬を連れているのか: 西郷どん愛犬史』

 元社会部記者である筆者の「犬の伊勢参り」(平凡社新書)、「犬たちの明治維新 ポチの誕生」(草思社)に続く、犬シリーズ第3弾。

 HPの内容紹介にこうある。

 ――幕末京都の祇園の茶屋で、伊藤博文、木戸孝允などの長州勢が夜中まで芸者をはべらせ、歓を尽くす中、西郷ひとりは、芸者には目もくれず、愛犬と鰻飯。食べ終えたら、即帰宅。犬にしか興味がないのだ。

 また、戊辰戦争のさなかに、ささっと鹿児島に帰り、犬を引き連れ、狩り、温泉ざんまい。明治7年には、鹿児島・指宿(いぶすき)の鰻温泉に犬13匹を連れて、温泉旅行(犬最多記録)。

 そして、西南戦争には、あろうことか、犬連れ出陣。熊本、宮崎と撤退を続け、味方の兵士が次々と銃弾に倒れていく中、西郷は相も変わらず、犬を連れ、狩りにいそしんでいた。

(1,500円+税、草思社)

(堤  哲)

西脇真一、平野光芳著『なぜ金正男は暗殺されたのか 自滅に向かう独裁国家』

西脇真一、平野光芳著『なぜ金正男は暗殺されたのか 自滅に向かう独裁国家』

 毎日新聞朝刊国際面で6月9日から28日まで計18回連載の「VXの女たち・正男暗殺」に加筆した。筆者の西脇真一記者は毎日新聞アジア総局長(バンコク特派員)、平野光芳記者はジャカルタ支局長。服部正法外信部副部長がまとめたが、上海支局林哲平、ニューデリー支局金子淳、東京社会部岸達也各記者が現場取材、ソウル支局米村耕一記者が中国大連で取材し、この事件とは別に、北米総局会川晴之、中国総局西岡省二、ソウル支局大貫智子各記者の北朝鮮関連記事も載っている(肩書きはいずれも当時)。

 事件は2017年2月13日、マレーシア・クアラルンプール空港で起きた。出発ロビーの自動チェックイン機に並んだ小太りの男に、若い女性が話しかけたと思うと、別の女性が目隠しをするように男に飛びかかり、最初の女性が男の顔に何かをなすりつけた。

 ほんの一瞬の出来事だった。この暗殺事件の模様は、防犯カメラにとらえられ、全世界に配信された。

 この実行犯2人の女を西脇、平野両記者が追ったドキュメントである。

(1,000円+税、毎日新聞出版社)

(堤  哲)

千里元之著『改作お伽話 桃太郎はじつは猿に裏切られていた! ?』

『改作お伽話  桃太郎はじつは猿に裏切られていた! ?』

 内容紹介にこうある。

 よく考えると、お伽話は腑に落ちない。そこで、おなじみのお伽話を大胆に改作。良い悪い、敵か味方かをそうハッキリできないこともある「桃太郎」。「浦島太郎」は、竜宮へ行ってよかったのか、よくなかったのか。「猿蟹合戦」は、文明と自然の相剋の物語。「時間」をテーマの美しい物語に仕立てた「かぐや姫」。

 太宰治の『お伽草紙』にインスパイアされて、独自につむぐ四つの物語。

 せんりもとゆき氏の略歴が載っている。

 1937年4月、三重県生まれ。
 1962年3月、東京大学文学部卒業。
 1962年4月、大手新聞社に業務職で入社、本社、関連会社で事務職、営業職、スタッフ職、管理職を務め、2002年に退職。
 私立大学4校で「社会調査」「マーケティング」「メディア論」「現代社会論」を非常勤講師で担当、2007年に退任。
 現在、東京都在住。

 筆者は誰か。もう分かったと思います。

(1,200円+税、文芸社)

(堤  哲)

荒牧万佐行写真集『1967中国文化大革命』

『1967中国文化大革命』

 北京には四日間滞在した。一日目の1月24日は,三角帽子の引きまわしが盛んに行われていた。寒風の中、トラックの先頭に乗せられていた。首から白い板が下げられ,“罪状"が書かれている。顔面蒼白、目は力なく一点を見つめていた。銅鑼や太鼓の音に道行く人も「今度は誰だろうか」と集まってくる。

 人民解放軍の兵士を満載したトラックとすれ違った。兵士から三角帽子の「反動分子」に罵声が飛んだ。

 この現場は、私が文革を取材した中で、とくに印象に残った一点だった。

 ――ちょうど50年前の1967年に、中国で吹き荒れた「文化大革命」の嵐。1967年1月から2週間、毎日新聞社の「中共特派視察団」(林健太郎東大教授、村松暎慶大教授ら)の一員として現場を取材した荒牧万佐行氏(元毎日新聞写真部員)が刊行した写真集。

 「撮影したフィルムを再点検し、160点を選び、7章に分類、まとめてみました」

 昨年、都内3か所で写真展を開いたところ、中国人留学生も訪れ、「こんな大変だとは思いませんでした」「両親から文革に関しては一言も聞かせてもらえませんでした」と、あとがきにあった。

(集広舎刊、2500円+税)

(堤  哲)

小倉孝保著『がんになる前に乳房を切除する 遺伝性乳がん治療の最前線』

『がんになる前に乳房を切除する 遺伝性乳がん治療の最前線』

 今、話題の書。テーマは「遺伝性乳がんの予防切除」。毎日新聞10月15日朝刊「今週の本棚」でも紹介された。著者は現役の外信部長である。

 乳がんを手術した女性たちがモデルになったセミヌードのカレンダーが2013年に英国で制作され、評判になったのを覚えているだろうか。仕掛け人は、ウェンディ・ワトソンさん。女優アンジェリーナ・ジョリーの両乳房切除手術の20年以上も前に、健康な自らの乳 房にメスを入れた。当時37歳。母親も祖母もがんで亡くしていた。

 筆者は、このカレンダーから取材を始めた。ロンドンの特派員だった。

 むろん毎日新聞紙上でもリポートが載った。そのデジタル版(英語)が2014年英外国特派員賞を受賞した。日本人として初めてという。

 2015年7月外信部長となり、日本国内の乳がん事情も取材して、この本になった。乳がんで亡くなる人は世界で毎年約46万人にのぼるそうだ。

(文藝春秋・1728円)

(堤  哲)

小林弘忠著『満州開拓団の真実』

小林弘忠著『満州開拓団の真実』

 なぜ、悲劇が起きてしまったのか――。

 軍隊の庇護も受けず、現地に取り残され、逃げまどったあげく自決した「満州開拓団の悲劇」を、元毎日新聞記者が後世に伝える。

 発行元・七つ森書館のHPにこうある。

 長野県下高井郡の出身者の「髙社郷開拓団」の集団自決事件。小林さんの調査によると、団員716人のうち576人が異郷で死んだ。自決は272人、うち妻は132人。5歳以下の死者は116人にのぼった。

 「小林さんは校正作業を済ませた7月半ば、刊行を待たずに80歳で病没したため本書が絶筆となった」(毎日新聞9月28日夕刊)

 本体2,000円+税

(堤 哲)

梅津時比古著『音のかなたへ』

梅津時比古著『音のかなたへ』

 9月17日付の毎日新聞書評欄で紹介された。

 〈 音楽をめぐる随筆と、オペラ評やコンサート評などを集めたもので、すべて毎日新聞に連載されたものだ。同種のものはこれまでにもまとめられており、これで八冊目になる。梅津は音楽批評においてひとつの流儀を確立したといっていい 〉と評者の三浦雅士氏。

 〈 音楽について書くことの難しさは誰もが実感することだ。専門用語を駆使した技術批評ならばむろん簡単だろうが、それでは学者の専門論文と同じで、素人の音楽愛好家に理解するのは難しい。一般人に音楽の素晴らしさを伝えるには、結局、比喩を用いるほかないのである。

 梅津時比古はこの隘路(あいろ)を果敢に切り開いた音楽批評家である 〉

 梅津さんは毎日新聞OBで社会部から学芸部音楽担当。現在、桐朋学園大学の学長を務める。

(毎日新聞出版・2160円)

(堤 哲)

下川 正晴著『忘却の引揚史―泉靖一と二日市保養所』

『福島は、あきらめない―復興現場からの声』

 山田孝男特別編集委員がコラム「風知草」で紹介した(毎日新聞2017年8月14日付朝刊)。

 〈敗戦後、満州(今の中国東北部)や朝鮮半島で進駐のソ連兵らに暴行され、心ならずも身ごもった多くの日本人女性がいた。

 博多港に上陸した引き揚げ者139万人の中にも多数いた。政府は福岡県・二日市町(今は筑紫野(ちくしの)市)に施設をつくり、希望者に中絶手術を施した。「二日市保養所」である。

 当時、中絶は違法。事柄の性格上、関係者は沈黙を守った。中絶件数は1年半で400〜500。同数の性病患者の治療も行われたという。「国による強制堕胎」という暴露・糾弾記事が出たが、深層は理解されず、忘れられた〉

 著者は、元毎日新聞ソウル支局長、バンコク支局長、論説委員。定年退職後、韓国外国語大学校客員教授、大分県立芸術文化短期大学教授。68歳。

(弦書房・2376円)

(堤 哲)

冠木雅夫編『福島は、あきらめない―復興現場からの声』

『福島は、あきらめない―復興現場からの声』

 毎日新聞2017年6月25日付朝刊「今週の本棚」で紹介された。

 メディアの役割とは何か。東日本大震災と東電福島第1原発事故に対しては、災害への対応や備え、原子力行政のあり方などを厳しく監視することだ。一方で大事なのは、「現場」に軸足を置き、そこで暮らす人々に注目することだろう。困難から逃げず、復興を目指して地道に活動する人々の6年間が、ここにある。

 本書は、毎日新聞に2013年から3年半、毎月連載された「福島復興論」の対談、座談会がもとになっている。「浪江の避難者二万一〇〇〇人、どう支えるか」「東京での避難生活と今後の課題」「原発事故への備え、欧州の経験から」。幅広いテーマを語り合った81人が登場する。農作物の放射性物質検査にいち早く取り組んだ人々、子どもの屋内遊び場を整えた医師、大堀相馬焼、会津木綿といった伝統工芸の魅力を伝える若者。「二重の住民票」の提案など新たな動きも紹介されている。

 紙面掲載後に再取材した「その後」には、活動を冊子にしたり、新事業を始めたりする姿も紹介されている。福島出身の編者は「復興は人である。取材を続けてきて、つくづくそう思うようになった」と記す。前を向く人々への応援歌だ。(坂)

(藤原書店・3024円)

(堤 哲)

高尾義彦氏が自伝PartⅡを出版

『無償の愛をつぶやく』

 毎日新聞42年、日本新聞インキ6年、会社人間48年の総決算を、ほぼ毎日アップしている「河彦」さんのツィッター俳句と、雑誌などに寄稿したエッセーでまとめた。本文314ページの厚手の自費出版本である。第1集は2014年に出版されている。

 表紙は、郷里徳島県特産の阿波紙を使い、やはり特産の「藍」の色合いを出している。『無償の愛をつぶやく』の題名の由来は、本の冒頭で紹介されている。「銀座一丁目新聞」の牧内節男さんが俳句道場を開いていたとき、選者の寺井谷子さんが「天」に選んだ作品からである。

 無償の愛とビールの泡につぶやいて

入手希望者は、メールyytakao@nifty.comで直接本人へ。送料とも@1000円。

(堤 哲)

瀬川至朗著『科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体』

 元ワシントン特派員、科学環境部長、現早稲田大学政治経済学術院教授の瀬川至朗さんが『科学報道の真相』を出版した。記者時代、紙面企画「理系白書」(のち単行本化)を主導した。

 以下は、朝日新聞4月2日付「読書」面の紹介記事――。

***

瀬川至朗著『科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体』

 科学ジャーナリズムは、複雑化する科学技術を一般に分かりやすく伝える重要な社会的役割を担っている。しかし、専門家からは不正確と批判され、一般社会からは難解と敬遠され、あまり評判がよろしくない。

 なぜそうなるのか? どうすればいいのか?「毎日新聞」の科学記者を長く務め、現在は早稲田大学でジャーナリズム・プログラムを率いる著者が、自身の経験と広い視野と学術成果を総動員してこれらの問いに答えた好著である。

 客観報道とは報道の結果の公平性ではなく、調査の過程における客観性を重視する姿勢のことであるという主張は納得がいく。

 また、ジャーナリストの目線が市民や社会に向かず、他の同業者や取材対象ばかり意識しているとの批判も迫力がある。その結果、閉鎖的な「マスメディア共同体」ができあがり、科学ジャーナリズムが硬直化してしまう。ここを改めるべしという指摘は、以(もっ)て他山の石としたい。

佐倉 統(東京大学教授)

***

ちくま新書 950円(税込み)

(堤 哲)

奥 武則著『幕末明治 新聞ことはじめ――ジャーナリズムを作った人びと』

 2003年に早期退職して職を得た大学教師の仕事(法政大学社会学部)もこの3月で終わりです。昨年12月、標記の本を出しました。2月5日の毎日新聞「今週の本棚」に載った短評を再録させていただきます。著者の意をしっかり受け止めてくれたありがたい内容でした。

奥 武則著『幕末明治 新聞ことはじめ――ジャーナリズムを作った人びと』

 明治維新の前後、江戸のかわら版に公共性という不可欠な要素を付加したニューメディア「新聞」が登場した。黎明期を支えた先駆者たちの果敢な挑戦の軌跡をたどり、近代国家へと脱皮する日本の政治・社会の実相をジャーナリズムの断面から映し出すドラマチックな歴史書だ。

 13歳で航海中に遭難し、米国商船に救助されてほぼ10年後に帰国したジョセフ・ヒコ(浜田彦蔵)の木版刷り翻訳紙『海外新聞』に始まり、東京初の日刊紙『東京日日新聞』を「主張する新聞」に昇華させてゆく岸田吟香、福地源一郎の情熱。さらには交錯する英国人、ハンサードとブラックに至るまで、理想の新聞を追い求めた人々の波乱の生涯はそれ自体、物語性を帯びている。

 著者はまた、翻訳紙の枠を破る自前の情報紙『中外新聞』を世に送り出した柳河春三の「センセーショナリズムへの禁欲。ポピュリズムへの懐疑。そして、事実を記すことを通じて歴史に堪える紙面を作る」との信念を「現代においてもジャーナリズムにかかわる人間がめざすべき目標」と位置づける。世界各地でそうした兆候が目につき始めた今日、著者の示唆はなおさら重い。(卓)

(朝日新聞出版、本体1500円+税)

(奥 武則)

田村徳章訳(一部)『ガブリエル・サイードの世界-共生と架橋の詩学-』

田村徳章訳(一部)『ガブリエル・サイードの世界-共生と架橋の詩学-』

 メキシコの詩人ガブリエル・サイード(1934年生まれ)特集。季刊「LIBRARY iichiko」 2016年夏号(第132)である。

 田村さんは、ノーベル文学賞を受けたメキシコの詩人オクタビオ・パス(1914~ 98)がサイードを紹介した「激しさと透明さと」と、ザイードの詩「浜辺で誉め賛える」を日本語訳している。

 田村さんは元毎日労組委員長。印刷局長で退職して、東日印刷企画編集室へ。東日印刷に近い深川の市民サークルでスペイン語を習い始めた。英語はもとより中国語、サンスクリット語、ヘブライ語などに首を突っ込む、語学の天才?である。

 (文化科学高等研究院出版局刊、1500円+税)

(堤 哲)

重村智計著『日韓友好の罪人(つみびと)たち』

重村智計著『日韓友好の罪人(つみびと)たち』

 戦後の日韓関係は1965年の日韓基本条約に始まる。日本は当時なけなしの外貨準備から無償と有償合わせて計5億ドルの「政府借款」と3億ドル「民間借款」を供与して、軍事クーデター(1960)で政権を握った朴正煕大統領の政権と国交正常化した。

 それから50年。経済は急成長し、対照的に停滞する日本から学ぶものは無いと考え、日本にはっきりものを言い「歴史の謝罪と補償を要求する」姿勢が生まれ、日本は戸惑うばかりである。日韓両国民の意識は劇的に変わってしまった。

 韓国問題専門家の筆者は、大学で教えながら憂うる「近くて遠い日韓関係」に真の友好を築くための礎(いしずえ)を書いた。

 そのカギは「日本的オリエンタリズム」の克服である。「オリエンタリズム」とは元来、西欧の異文化(東洋)の憧れ、好奇心の事だが、その裏には「蔑視感情」があった。重村氏は日本人の対韓国、対北朝鮮観にもその論理は当てはまると見る。関係者たちが同じ過ちを犯し、事態を逆こじらせてきたという。

 暗殺された朴正煕大統領の娘の朴槿恵大統領が失脚したばかり。タイムリーな日韓関係の解説書である。

 (風土デザイン研究所刊。価格1800円+税. A5版。140頁 ’16,9,15刊)

仁科邦男著『伊勢屋稲荷に犬の糞: 江戸の町は犬だらけ』

仁科邦男著『伊勢屋稲荷に犬の糞: 江戸の町は犬だらけ』

 動物文学会会員・仁科邦男氏の『犬の伊勢参り』(平凡社新書)、『犬たちの明治維新 ポチの誕生』(草思社)に次ぐ第三弾。  ◆「江戸に多いもの、伊勢屋稲荷に犬の糞」と、いつ誰が言い出した?◆浅草、麻布、八丁堀…にあった”犬の糞横町”とは?◆犬死、犬侍、犬畜生、幕府の犬…なぜ犬はよく言われない?

 犬たちの暮らしを史料から描く傑作ノンフィクション!と帯にあるが、本人は「他の追随を許さない(だれもやらない)、我が道、独走中の傑作です」。

 社会部、サンデー毎日の書き手記者から毎日映画社の社長もつとめた。大の動物好きで忠犬ハチ公にも一家言持つ。

(草思社刊、本体1500円+税)

「戦後の流星毎日オリオンズ」野球雲7号

戦後の流星 毎日オリオンズ

 毎日新聞社が作ったプロ野球の球団オリオンズは、パシフィック・リーグ

 創設の一時期にリーグを背負った強力な球団だった。いまでは伝説となった「毎日球団」の実像を語る本が出版された。(詳しくは随筆欄「君は毎日オリオンズを知っているかい?」参照)

A5版並製175頁 定価本体1,200円+税

【お問い合わせ】
発行元 株式会社啓文社書房
Tel:03-6458-0843 Fax:03-6458-0849
メール:(漆原)

池田龍夫著「時代残照」―福島・沖縄そして戦後70年へ

池田龍夫著「時代残照」―福島・沖縄そして戦後70年へ

 2011年の東日本大震災、福島原発事故から15年9月の安保法制成立にいたる約5年間、ウェブサイト「ちきゅう座」などに投稿した政治や新聞報道についての論考を本にまとめた。筆者は東京本社で整理本部長、新聞研究室長、紙面審査委員長を務めた。新聞社を離れて半世紀、フリージャーナリストとして書きつづったコラムである。

 「憲法を破壊し戦争ができる国家へと進む政権とそれに抗議する市民の抵抗の記録である」と表紙カバーに。社内議論の末の新聞制作とは違って、筆者自身の信念から迸り出る野党的立場の厳しい政権批判で貫かれている。この時期、筆者は健康を害して病に臥せながら思いを筆に託した労作である。

(社会評論社刊 本体2300円+税)

江成常夫写真集『多摩川 1970-74』

江成常夫写真集『多摩川 1970-74』

 大阪万博に浮かれ、札幌五輪に熱狂したころ、首都の川は死に瀕していた――。

 告発の写真集である。「現在の多摩川はアユが生息するほど自然豊かな川だが、1960〜70年代はヘドロ、ゴミまみれの川であった。“二度と川を死なせるな”という写真家のメッセージを込めた写真集」と紹介文にある。

 10月に傘寿を迎える江成さん。5月24日パレスサイドビル「花」で開いた写真部OB会にも出席した。元気だ。

 1974年に退社後、渡米して戦争花嫁を訪ねた『花嫁のアメリカ』をはじめ、中国残留孤児、満州、太平洋の島々の戦跡を巡った『鬼哭の島』、ヒロシマ……。戦争の爪痕を取材し続ける。土門拳賞と木村伊兵衛賞の両賞受賞は江成さんが最初で、他に2人いるだけ。

 「今年は水俣病が公害に認定されて60年、過去の過ちが未来への灯になることを願って上梓しました」と挨拶文にあった。(堤哲)

寺田健一著『秋田よ変われ 寺田県政12年』(秋田魁新報社刊)

寺田健一著『秋田よ変われ 寺田県政12年』(秋田魁新報社刊)

 分厚い新書本である。600ページ、厚さ2.5センチ。横手市長から秋田県知事となった寺田典城さん(現参院議員、75歳)の足跡を追った。長く続いた保守県政を革新したドキュメントである。

 著者の寺田健一さんは社会部出身で元毎日書道会事務局長(専務理事)。寺田家に婿入りした典城さんの妻と、再従兄弟(またいとこ)の関係にある。

 「記者生活時代に書いた原稿量の10倍以上は書いた」(あとがき)力作である。

 秋田魁新報社刊、1000円+税

 余談。旧制一高の寮歌「嗚呼玉杯に花うけて」を作曲した楠正一 (1882〜1945)は、典城さんの祖母の兄、と同書にある。楠正成の末裔?である。(堤哲)

浅見渓著『マルセル嬢誘拐』(新幹社、2016年3月再版)

浅見渓著『マルセル嬢誘拐』(新幹社、2016年3月再版)

 1968年12月京都のロートレック展会場から名画「マルセル」が盗まれた。事件は迷宮入り。時効が成立して1か月後にその絵は無傷で見つかる。

 高樹のぶ子の小説「マルセル」は毎日新聞連載だったが、事件の概要を高樹さんにレクチャーしたのが、この本の筆者、元大阪社会部の事件記者藤田昭彦(64年入社)で浅見渓はペンネーム。

 京都府警を担当しているときに事件が発生、絵が戻ったとき社会部でかかわった。この事件への思い入れをドキュメンタリーフィクションの作品にまとめた。ともかく面白い。

 入手希望者は藤田までメールaf41114@hotmail.comで。
1冊2千円+送料180円。

毎日新聞(東京)OB同人誌「ゆうLUCKペン」第38集(A5判、170ページ)
特集「東京シティ」…夢淡きTOKYOラプソディ

毎日新聞(東京)OB同人誌「ゆうLUCKペン」第38集(A5判、170ページ)

 原田さんの幼き日々思い出の記はセピア色の町並み散策に誘う。大島渚や池部良と松島映画記者の交流。貧乏で浅草のヒョウタン池に佇んだ追憶を本田さんの文は甦らせる。博学諸岡さんの都電論にはただ脱帽!日々荒み疲れた心を和ませる随筆満載の特集。
 執筆者:原田三朗「記憶の沼底にある私の東京」、石綿清一、松島利行「私のTOKIO やさしい女が眠る街」、佐藤忠峯、野島孝一、藤川敏久、渡辺直喜、松上文彦、山埜井乙彦、牧内節男、高杉治男、神倉力、本田克夫「浅草のひょうたん池が消え銀座にトルコ風呂ができた頃」、堤哲、岩崎鴻一、倉嶋康、斎藤文男、福島清彦、松崎仁紀、横山敏彦、大住広人、中谷範行、諸岡達一「都電…深趣軽妙なる交通網」。
 頒価:@1千円、送料180円。
 申し込み:「ゆうLUCKペン」刊行委員会(〒171-0044 豊島区千早1-34-9 千早町ガーデンハウス303 中谷範行気付 TEL080-1027-9340)

川名 英之(著)
『世界の環境問題』全11巻

川名 英之 著 『世界の環境問題』全11巻

 世界主要国の環境の歴史と現状を丹念に紹介し、地球温暖化と人口増加が人類の生存すら脅かしかねないと警告している。
 まとめの11巻「地球環境と人類の未来」では温暖化により海面が上昇、乾燥地などで降雨量が減少、農業生産が減少する問題や世界人口が現在の73億から2060年頃には100億に急増、食料の不足が深刻化する問題を掘り下げ、破局を回避するためには人類が全力で立ち向かう必要があると訴えている。(随筆欄に著者の言葉「書き終えて」)
川名英之著『世界の環境問題』全11巻は(1)「ドイツと北欧」、(2)「西欧」、(3)「中・東欧」、 (4)「ロシアと旧ソ連邦諸国」、(5)「米国」、(6)「極地・カナダ・中南米」、(7)「中国」、(8)「アジア・オセアニア」、(9)「中東・アフリカ」、(10)「日本」、(11)「地球環境と人類の未来」
各巻384〜692頁。定価は本体各3200〜4200円、緑風出版。

早瀬 圭一(著)
「聖路加病院で働くということ」(岩波書店)

早瀬 圭一 著「聖路加病院で働くということ」(岩波書店)

 「小説新潮」という雑誌に「銀座の達人たち」を2年余、連載させてもらう機会があった。銀座の街で親子何代と一つ職業に精進している人たちを訪ね歩き、銀座の街で生きる人たちを紹介した。その最終回に聖路加病院の誰か(医師、看護師、事務職の中から選んで)を書くつもりであった。聖路加も銀座の一角にある。
 しかし聖路加には、あまりにも取り上げたい人が多い。そこで雑誌連載はいったん終わり、改めて聖路加病院だけに焦点をあて、40人近い人物の中から、医師2人と看護師2人に絞り込み、4人の「人生」を書いた。その結果、聖路加はあらゆる意味で日本一の病院だと確信している。大抵の図書館にはあるはずなので、 ご一読くだされば嬉しいです。

新入会員ご紹介

平成29年10月1日から同30年10月25日まで

氏名 定年時職場 主な在籍時職場 入会年月日
手塚 康彦さん(60) 役員 毎日アドビジネス
毎日広告社
毎日エージェンシー
広告局
平30.10.23
竹内 俊之さん(63) グラフィック グラフィック 平30.10.17
観堂 義憲さん(72) 社友 編集局長(東京) 平30.08.09
河野 俊史さん(62) 編集局 社会部
外信部
平30.08.02
折田佳代子さん(59) 総務部交換G 総務部交換G 平30.07.06
齋藤 式子さん(59) 総務部文書G 総務部文書G 平30.07.05
中村 威さん(56) 技術本部 制作技術局 平30.06.18
田中 孝次さん(59) 制作技術局工程センター 制作技術局技術部 平30.03.23
金丸 忠司さん(65) 情報調査部 広告局 平30.03.08
原田 和行さん(59) 世論調査部 技術センター
技術本部
平30.03.01
清宮 克良さん(60) 国際事業部 平30.02.21
川鍋 剛 さん(59) 計画管理部 広告局 平30.01.22
中井 一人さん(60) プロジェクト開発室 広告局 平29.11.21
及川 純司さん(69) 広告ÈÐi推進室 広告連絡部 平29.11.13
荒井 眞治さん (60) 情報調査部 出版写真部 平29.07.24
高原 克行さん (60) 毎日新聞出版 西部・報道部学生課 平29.10.13
大久保貞義さん (82) 横浜支局 整理部
政治部
平29.09.30
石郷岡善則さん(60) 毎日新聞東京社会事業団 平29.07.24
古河 啓三さん(60) 総務部 平29.06.30
武田 芳明さん(66) 役員 平29.06.23
山田 樹 さん(56) 販売局 平29.06.20
中井 和久さん(59) 内部監査室 平29.06.13
岩尾 光代さん(70) 出版局 平29.05.16
塚本 泉さん(59) 東京・オピニオンG 平29.04.28
須田 孝治さん(63) 広告局 平29.04.20
梁川 淑広さん(59) 伊東通信部 平29.04.07
冠木 雅夫さん(59) 編集編制局 平29.03.31
小田切敏雄さん(65) 富士吉田通信部 平29.02.23
佐々木宏人さん(75) メガポート放送 平29.02.15
椎橋 勝信さん(72) 論説室 平29.02.15
杉野 定嘉さん(69) 広告局 平29.02.06
清水 忠さん(64) 技術本部 平29.02.03
関口 英明さん(63) 秘書室 平28.12.05
玉置 和宏さん(77) 論説室 平28.09.15
武田 博仁さん(59) 佐久通信部 平28.07.31
奥村 博史さん(60) 企画編集室 平28.07.31
友岡 三治さん(67) 技術本部 平28.06.13
今井 辰夫さん(64) 総務部文書G 平28.06.07
宮田 修一さん(65) 広告局連絡部 平28.05.24
須賀 潔さん(65) 地域面G 平28.03.28
松崎 仁紀さん(70) 社報編集室 平28.01.27
秋田 敬一さん(65) 総センター商況制作G 平28.01.12

ご冥福をお祈り申しあげます(毎日OBの訃報)

平成29年10月01日から30年12月5日まで

   
小室 昭蔵さん 91歳 元総務部 平30.11.06
森澤 順子さん 90歳 元総務部 平30.11.02
吉武 恭一郎さん 89歳 元販売局 平30.10.19
伊藤 光彦さん 81歳 元編集局 平30.10.16
石丸 和人さん 90歳 元論説委員 平30.10.06
河西 瑛一郎さん 77歳 元販売企画本部 平30.10.05
渡辺 章さん 67歳 毎日・首都圏センター 平30.09.27
野村 隆宏さん 59歳 オリンピック・パラリンピック室長 平30.09.20
三矢 元城さん 71歳 元写真部 平30.09.14
綿引 一雄さん 94歳 元広告局 平30.09.04
河原崎 晃一さん 87歳 元常務取締役(制作担当、技術担当) 平30.09.01
榎本 一夫さん 85歳 元制作部 平30.08.13
坂戸 悦偉さん 78歳 元工程センター 平30.08.10
渡邊 和正さん 91歳 元電送課 平30.07.26
小林 富徳さん 78歳 元大月通信部長 平 30.07.26
岩本 實さん 90歳 元校閲部 平30.07.07
久村 雄三さん 89歳 元英文毎日編集部 平30.06.29
中村 恭一さん 75歳 元社会部 平30.06.23
市野 征雄さん 72歳 元技術本部 平30.06.19
関根 武さん 88歳 元写真部 平30.06.16
伊藤 勇三さん 85歳 元制作部 平30.06.09
平井 一郎さん 92歳 元広告局開発本部 平30.05.28
石川 恒さん 93歳 元広告局長 平30.05.19
橋本 巖さん 88歳 元活版部 平30.05.18
西村 昌二さん 91歳 元販売局 平30.05.18
岸井 成格さん 73歳 元本社主筆 平30.05.15
田中 青史さん 68歳 元西部本社代表 平30.05.12
松島 利行さん 80歳 元学芸部編集委員 平30.05.11
松本 博一さん 96歳 元論説副主幹 平30.05.03
山本 栄蔵さん 90歳 元販売局 平30.04.25
前田 武男さん 79歳 元販売宣伝部 平30.04.23
伊藤 勝巳さん 84歳 元入力課 平30.04.16
橋本 達明さん 73歳 元専務取締役主筆(元下野新聞社長) 平30.04.14
薄井啓之助さん 79歳 元販売局 平30.04.13
池田 龍夫さん 87歳 元整理本部長 平30.04.06
山内 厳さん 87歳 元人事部 平30.03.27
大田 實さん 96歳 元運動部 平30.03.26
神藤 靖治さん 91歳 元総務部 平30.03.20
北山 茂江さん 91歳 元校閲部 平30.03.07
中村 秀子郎さん 88歳 元組版課 平30.03.04
富重圭以子さん 62歳 元専門編集委員 平30.02.26
鈴木 寅三さん 92歳 元工務第二課 平30.02.18
藤原新一郎さん 92歳 元論説委員 平30.02.13
及川理恵子さん 92歳 元調査部 平30.01.22
高井 朗さん 90歳 元校閲部 平30.01.10
宇井 廣さん 96歳 元出版広告部 平30.01.10
佐藤 隆一 さん 91歳 元活版部 平30.01.03
岸 直良さん 94歳 元工務第二課 平30.01.03
菊地 輝 さん 87歳 元学芸部 平29.12.27
原田 三朗さん 82歳 元論説委員 平30.12.24
渡辺 俊治さん 90歳 元総務部 平29.12.20
園木 宏志さん 76歳 元制作局長 平29.12.20
井出 幸男さん 79歳 元特集版編集部 平29.12.19
江口 宏さん 91歳 元編集局次長(元下野新聞社長) 平29.12.12
小池 唯夫さん 85歳 元代表取締役社長 平29.11.30
柿沼 春夫さん 93歳 元浜松支局長 平29.11.30
柳 泰行さん 86歳 元販売局次長 平29.11.30
丸島正太郎さん 93歳 元総務部 平29.11.21
合志 哲夫さん 90歳 元活版部 平29.11.04
小松 隆芳さん 88歳 元販売局 平29.10.19
柿沼 則夫さん 89歳 元事業本部 平29.10.16
柳沢 高司さん 88歳 元監査室 平29.10.12
柴田 寛二さん 82歳 元論説室 平29.10.12