新刊紹介

2023年3月28日

『ゆうLUCKペン』第45集が完成、@1千円でお分けします

 毎日新聞OB連が「懐かしくも」ペンを走らせて「記事・原稿」を書きまくっている文集『ゆうLUCKペン』45集が刊行された。

 有楽町編輯局時代に「あの編輯局に居た」経験のある人はほとんど存在しないが『ゆうLUCKペン』という誌名で判るように、この文集は竹橋移転直後「有楽ペン供養」という誌名で刊行されて以来続刊して45集を数えた。

 何をやっても・何を書いても・どんな紙面を作ろうとも、何だコレはっ、違うだろっ……などと言われたことがない自由な有楽町編輯局だった。政治部も社会部も経済部も外信部も学芸部も運動部も地方部も整理部も……思いっきり紙面を作って「面白がっていた」のである。

 そういうペンを供養しなければならないような時代になってしまった。竹橋へ来て当時の記者は予感したのかも知れない。

 昨今の世情はオ・カ・シ・イ。霞が関官僚に過度な忖度が目立ち、堂々と国民に背を向ける「決めごと」が先走りし、軍備はどかんどかん増強し、仲の良い人々のみ大事にする……国の本質・長期政権のおごり。

 あーあ、やんなっちゃうのだ。

 メディア・新聞は「批判疲れか?」……政権の悪事に反対しても仕方なしの気分。国民側もあきらめムード、どうでもいいわ! 批判の声ナシ。国民に「私」という主体性が見えない。

 「嫌なことは嫌だ」と発言し通した有楽町時代に戻ったかのようにOB記者連が何の束縛もなく自由に書きまくる「ゆうLUCKペン」こそ毎日新聞らしい「私」の文集のような気がしてくる。

 ゆうLUCKペン45集のテーマが「人間の死を考える」。

 嫌なテーマであろうか。反応如何にと興味津々だったが「待ってました」の声多し。さまざまな考えが寄せられて編集幹事団もびっくりである。

 それというのも……加齢とともに自分もその世界観が押し寄せてきそうだからかも知れない。毎友会HP訃報欄を見ても、ずいぶんと仲間だったヤツが消えていく。ありゃアイツもかぁ、いやぁアレホド酒飲んで騒いだのになぁ、いい男だったなあぁの先輩……そんな具合のこんにちただいまである。年賀状にも「杖がないと歩けなくなりました」「新聞を読むのが少々面倒臭く感じるトシです」などなど。

 若い時分はそんなことは考えなかったが、今は違うんであるね。ちゃんと「そのときのことを」考える時期(年齢)を迎えたのである。読み応えたっぷりの原稿が削られる作業に遭うこともなく100%掲載されているのが「ゆうLUCKペン」である。原稿用紙にボールペンという人もまだいるが、文の勢いはみなさん存分充分忌憚なく……奔放たる達筆は当分衰えそうもない。特に今回のテーマは……。

(諸岡 達一)

「ゆうLUCKペン」第45集 目次

生きながら逝くための、「打ち切る」技術について 永杉 徹夫(83歳)
ホモサピエンスの命運/六歳から考えた「死」/明日にも凶暴な化け物になる… 今吉賢一郎(85歳)
死は後ろからやって来る 牧内 節男(97歳)
象の墓場に学ぶもの/自ら赴く孤高の覚悟 本田 克夫(96歳)
もう一回おふろに入って、おしまいにする―致命傍観の記― 大住 広人(85歳)
病が教えてくれた死への恐怖/ゴルフ場、路上、救急搬送/ICUで三途の川を彷徨う 加納 嘉昭(88歳)
死は一定/一切の延命医療を拒否します/“常楽我浄”を来世まで 神倉  力(86歳)
「今考える、人間の死愛犬の死に想う」 野島 孝一(81歳)
安楽死か、尊厳死か/自らの意思で死を望む時 福島 清彦(78歳)
「落ち椿」余録 漱石・寅彦……俳句と物理学の旅- 滑志田 隆(71歳)
「社会部」創設120年/豪壮絢爛……部長列傳/東日 57人、大毎 46人―女性部長も 堤   哲(81歳)
ロシア文学の優しい恩師“熱血”原卓也先生 74歳で死す…恩返し半ば 飯島 一孝(74歳)
◇黄泉がえり感の体験◇~麻酔から覚め、大腸がん・脳梗塞に感謝~ 斎藤 文男(81歳)
「東京タワー事件」のコトバ/沖縄人をヤミ打ちに食わせたかの久米島虐殺とは… 大島 幸夫(85歳)
訳詩とは作詩である/「丸太棒の一とたたき」「一杖一撃して打ち毀つ頃ぞ」 光田  烈(79歳)
「風の十字路」西蔵で凧揚げ/高地凧揚げの世界記録樹立/団体ビザをなくして大ピンチ 倉嶋  康(90歳)
甘納豆・栗羊羹・大福・最中/上等の歯が 26本も/良く眠る―ボケる暇ない 半田 一麿(87歳)
真面目人間になったからには! 岩崎 鴻一(86歳)
伴奏者を見るようになった 渡辺 直喜(75歳)
MVP投票、1ポイント差の怪/ディマジオとウィリアムズ、ジャッジと大谷翔平/神様からの返事は如何に 松﨑 仁紀(76歳)
「歴史総合」を 50年前に実践していた教師/「上忠」の薫陶を今にして思う 松上 文彦(77歳)
「来春も杖つき五歩行の身となりて」/中谷範行氏の死を悼む 横山 敏彦(90歳)
絶対負けないオレ主義/名文家豊田泰光の寂滅と空白/胸に消えない虚無感 諸岡 達一(86歳)

*是非!手に取って読んでください。1冊千円でお分けします。送料は会負担で無料です。
 申し込みは、事務局・堤 哲 、携帯080-3284-1568まで。
 現物は、パレスサイドビル2階㈱毎栄営業部(北村さん)にあります。

*次号には、オレにも書かせろという方の連絡も大歓迎!原稿〆切りは11月半ばです。
 ちなみに今回の執筆者の最高齢は97歳牧内節男さん。23人の平均年齢は83.3歳。