新刊紹介

2023年7月11日

元環境記者、滑志田隆さんの「椿飛ぶ天地」が日本記者クラブ会報7月号に

マイブック マイPR。
□「椿飛ぶ天地」
滑志田 隆(毎日新聞出身)

▼漱石の俳句巡る友情の軌跡

 小説二篇。表題作「椿飛ぶ天地」は「俳句とは何か」を問いながら、椿の落花を集める男の物語。漱石の俳句「落ちざまに虻を伏せたる椿かな」は実景を見た写生か、観念の産物なのか。弟子の寺田寅彦は椿を〝飛行体〟と考えて実験し、師の真意に迫る。その友情と洒脱の軌跡を追った結論は「俳句はアカルチュレーション(文化変容)なり」。「平壌号」は北京―平壌の列車の旅を描く紀行小説。北朝鮮が国を挙げて取り組む植林運動の報告が興味深い。

論創社 / 1980円 / ISBN 4846022404

(日本記者クラブ会報から転載)