随筆集

2023年8月4日

『「ロマン」こそ我が人生―田場武勝 回想・追悼集』発行

 昨年9月26日、81歳で亡くなった元印刷局次長・田場武勝さんの回想・追悼集が完成した。編集しながら感じたことを紹介しておきたい。

 田場さんが亡くなってしばらく経ったとき、毎日整備産業の従業員だったみなさんから、PEC社長だった工藤茂雄さんに、「田場さんを偲ぶ会はいつ開催するのですか」と、何度も問い合わせがあったという。思いあまった工藤さんから相談を受けて、亀山久雄さん夫妻が経営している「余白」にお願いしたところ、12月17日が空いているというので、開催することができた。この偲ぶ会の模様は、2022年12月19日付「集まりました」で紹介した。

 この席で、追悼集発行を呼びかけたところ、妻・登志子さんからは「夫との闘病生活7年間を振り返って」、長女・明子さん、長男・昌史さん。次女・朋子さんの3人からは「父との思い出」が寄せられた。この内容に感動した。家族からの思い出は、お礼をこめて巻末に掲載されることが多いが、文句なしにトップにした。

 かつて田場さんから3人の子どもの名前の由来を聞いたことがある。「長女は日と月で明子、長男は日が二つで昌史、次女は月二つで朋子としたんだ」と。田場さんは「太陽と月」へのロマンを子どもたちに受け継がせたかったのかも知れない。

 田場さんの妻・登志子さんにお贈りしたところ、「子どもたちの文章を読むと、私は気付かなかったけれど、夫は家庭でも扇子の要のような存在だったと思います」と、田場さんとの日々を回想した。

 みなさんの回想・追悼文は、田場さんの人生のすべてを見事に浮き彫りにしていると思う。そして、回想・追悼というより、田場さんから学んだことへの感謝の言葉となっている。

(福島 清)