随筆集

2023年10月23日

センバツ大会歌「今ありて」を作曲した谷村新司さん

 10月8日に亡くなったシンガーソングライター谷村新司さん(74歳)。1993年のセンバツ高校野球第65回大会から大会歌となった「今ありて」の作曲者だ。作詞は、阿久悠さん(1937~2007)。

新しい季節のはじめに
新しい人が集いて
頬そめる胸のたかぶり
声高な夢の語らい
ああ 甲子園 草の芽 萌え立ち
駆け巡る風は
青春の息吹きか
今ありて 未来も扉を開く
今ありて 時代も連なり始める
踏みしめる土の饒舌

 2007年以降、毎日新聞社の小児がん征圧キャンペーン「生きる」のチャリティーコンサートに登壇したと訃報にあったが、もうひとつ「親子の日」特集に娘の詩織さんと登場した。2012年2月26日付だ。

 記事にこうある。《中国をはじめとするアジアでは、タニムラシンジという歌手の名も「昴」という歌も、誰もが知る常識に近い》

《「詩織って、なかなか面白い子でしょ?」
 自分が隣にいるとのびのびと発言できないから、と気遣い席を外していた父が少し照れくさそうな感じで会話に入ってきた。…同じステージに立つことに関して「これまで頑張ってきたご褒美って感じがしますね。家族一緒にいることって当たり前のようだけど、実は特別なことなんだ、奇跡のような素晴らしいことなんだ、って実感するんですよ」。
 「私は、この家族が大好き。尊敬する人がそばにいるって、いいよね」と詩織さんが受ける》

 「親子の日」は、写真家のブルース・オズボーン、井上佳子夫妻が提唱した。4月第2日曜日が「母の日」、5月第3日曜日が「父の日」。それなら6月の第4日曜日を「親子の日」にしようと。2003年からこの運動を始めたからことしで満20年である。

 谷村新司さんのご冥福をお祈りします。

(堤  哲)