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2024年4月2日

戦後80年に向けて連載「戦中写真を読む」が16日スタート

 毎日戦中写真アーカイブ化プロジェクトの共同研究者、京都大学東南アジア地域研究研究所の貴志俊彦教授(64歳)が31日、毎日新聞紙上で連載「戦中写真を読む」を4月16日から始めることを明らかにしました。毎週火曜日、都内版での掲載が予定されています。

貴志俊彦京大教授

 「毎日戦中写真」は、毎日新聞の特派員が日中・太平洋戦争期に海外で撮影した写真・ネガで、大阪本社に6万点以上が、出稿・掲載、検閲の記録などとともに整理したアルバム「写真帖」69冊とともに保管されています。戦後80年の2025年に向けデジタルアーカイブ化が進められており、人事記録、記者の手記などをもとに撮影者の足跡を追い、戦争の新たな側面を次世代に伝えるための共同研究が、東京大学大学院情報学環の渡邉英徳教授(49歳)や貴志教授らとともに2022年度から3年間の予定で行われています。

 東京大学本郷キャンパス内の情報学環・福武ホールで 3月31日(日)に開かれたイベント「ミライ世代と読む戦中写真~データを紡いで平和につなぐ~」では、この共同研究の中間報告として渡邉研究室の学生らが、デジタルコンテンツの発表やワークショップを行い、毎日小学生新聞で募集した親子ら180人が参加しました。会場には、自分のアバター(分身)を作成して毎日戦中写真の中を歩く「戦災VR」の実演などが行われ、子どもたちが熱心に体験していました。「デジタルだけでなく“実物”も」という渡邉教授の提案で、戦中写真をA1サイズ((594mm×841mm))に引き延ばした写真5点や「写真帖」現物1冊も展示されました。

 研究発表では、渡邉教授が「先端テクノロジー×戦中写真×Z世代」のタイトルで、直接戦争を体験した人に接する機会が少ない子どもたちが戦争と平和について考えるきっかけを作る方法について、貴志教授が「戦中写真は語る 兵士のいる風景と現代の景観」と題して、今年2月にマレー半島で安保久武カメラマン(2005年没、93歳)ら毎日記者の足跡を実地調査した成果を報告しました。毎日新聞社からは、毎日新聞東京本社・中島みゆき記者(89年入社)が共同研究の枠組みや進捗について報告したほか、大阪本社・佐々木博子記者(91年入社)が「毎日戦中写真の特徴」として「記者が命懸けで撮影した。20、30代の若い感性で撮影された写真は、戦闘だけでなく街並みや人など多岐にわたっている」と説明しました。会場では、安保カメラマンが中国で撮影した写真をストーリーマップ化した作品も大画面「リキッド・ギャラクシー」で披露され、子どもたちが食い入るように見入っていました。

 https://wartime.mapping.jp/001.html

 https://wartime.mapping.jp/002.html

 貴志教授の連載は、数回ごとに「銀輪の行軍」「戦火の取材陣」「戦場の動物」「不許可写真」というようにサブタイトルを設定し、毎回1~2枚の写真と500文字程度の文章で、多彩な「毎日戦中写真」を読み解く内容になるとのこと。掲載面は都内版を基本とし、webサイト毎日新聞デジタルでも公開されます。

 31日「ミライ世代と読む戦中写真~データを紡いで平和につなぐ~」の模様は、こちら をご覧ください。

(堤  哲)