随筆集

2016年6月15日

阿部菜穂子さん(元毎日記者)が日本エッセイストクラブ賞受賞

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 元毎日新聞記者の阿部菜穂子さん著「チェリー・イングラム」(岩波書店)が第64回日本エッセイストクラブ賞に選ばれた。(授賞式は6月29日日本記者クラブ)

 菜穂子さんは、阿部汎克元論説副委員長(84歳)の娘さんで、2001年夏からイギリス人の夫、2人の息子とともにロンドンに住み、フリーのジャーナリストとして活躍している。

 日本で桜というとソメイヨシノ。パッと咲いてパッと散るという印象が強い。イギリスでは多品種の桜が植樹され、次から次へ満開を迎える。桜花を楽しめる期間がずっと長いのだ。

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 取材をしていくうちに、イングラムさん(1880?1981)が明治・大正時代に3度来日して、多種多様な桜を持ち帰って、大事に育てていたことを知る。「桜辞典」も発表している。

 桜の本家・日本では江戸時代には250種もの栽培品種が生まれたが、明治維新で荒廃。もっぱらソメイヨシノが植樹された。戦時中は「みごと散りましょう 国のため」と、桜のように散るのが最高の美徳になってしまったという。本の副題は「日本の桜を救ったイギリス人」。伝統の桜はイギリスで多くが生き残り、「里帰り」も実現している。

 菜穂子さんのブログをみると、満開の桜の写真がいくつも載っている。「太白」や遅咲きの八重「寒山」などが青空に映える。

 菜穂子さんのHPは www.naokoabe.com

 *桜の写真は阿部菜穂子ブログより。

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(堤 哲)