随筆集

2016年7月7日

安倍晋太郎さんと、先輩の激励

 先日(2016,6,30)の合同懇親会で朝比奈さんが社長8年間の足跡を振り返ったお話は立派でした。感銘深く拝聴した。

 そのあと安倍晋三現首相のお父上、安倍晋太郎先輩のことを思い出した。ご承知のように晋太郎さんは毎日政治部出身、首相候補と目されながら志半ばで病に倒れられた。毎日が新社に移行した当日(1977,12,1)だったと記憶する。9F大会議室で社員大会が開かれ、平岡敏男社長が今後の方針を説明した。会場は満員、遅れて来た人達は社長の話の間、開け放した入口の外から聴いていた。

 私は司会役で入口付近に立っていたが、外から覗き込む人々の間から安倍晋太郎さんのお顔を発見、驚いた。安倍さんは前月、福田改造内閣で官房長官になったばかり。そんな忙しい中を駆け付けてくれたのだ。社長の話が終わり、私はマイクで次の議事を会場に告げたあと、急いで入口に引き返したが、もう安倍さんの姿はなかった。先輩たちは古巣のことを本当に心配しているのだなあ、と今でも忘れられない想い出である。もう1人、坊秀男先輩は当時、大蔵大臣だったと思う。立場上、あからさまに動けなかっただろうが、ピンチの古巣を心配して陰に陽に手を差し伸べてくれたと当時、人づてに聞いていた。有り難いことである。こうした諸先輩の古巣を思う心と有形無形の励ましによって、以後わが社は再建の歩みを始められたのだと思っている。

 毎日出身の有名人は今も各界で活躍中であり、ご同慶に堪えない。それぞれお忙しいことと思うが、できれば合同懇親会か秋の毎友会総会か、その1回だけにでも顔を出して現役経営陣を激励してくれたら、現役諸君もどんなにか心強く力づけられることだろう。合同懇親会の帰りの電車で、ふとこんなとり止めない思いに取りつかれたのでした。

(名誉職員・本田克夫)