随筆集

2017年9月19日

社会部旧友会の3句聖

 月刊「俳句」(角川文化振興財団発行、(株)KADOKAWA発売)9月号の読者投句欄「平成俳壇」の「秀逸」に選ばれた2句――。

  菩提寺の未完の塔や藤の花  一閑
  胸張って泰山木の花咲けり  一閑

 故郷(ふるさと)を詠むシリーズで、「故郷の建物」がお題。バックナンバーを調べたら、8月号、7月号にも「秀逸」作品があった。

  雨乞や溜池に飛ぶ祈りの火  一閑
  遠山に雨のくるらし菊根分  一閑

 俳壇の新星・一閑とは誰? 某先輩に尋ねると、森浩一さんであることが分かった。元社会部長、元スポニチ社長である。

 「俳句」10月号の予告に特集「戦後俳壇」。筆者に学芸部OBの酒井佐忠さんの名前があった。

 社会部旧友会メンバーで「俳人」で知られるのは、かつて「銀座一丁目新聞」で俳句道場を主宰していた牧内節男さん(一閑さんの先輩の社会部長、スポニチ社長・会長)。

 HPから最近作を拾うと――。

  鶏頭に天下の秋見つけたり    悠々
  ボケ防止心に響く牌の音     悠々
  数の子の歯ごたえ確か我老いる  悠々

 もうひとり、『無償の愛とビールの泡につぶやいて』(牧内俳句道場で「天」)の句から、『無償の愛をつぶやく Ⅱ』のタイトルで雑文交じりの句集を出版した高尾義彦さん(前日本新聞インキ社長)。

  台風に 情け求めて 同窓会   河彦
  佐原さん 偲んで秋の 百花園  河彦
  蕎麦の花 三鉄沿線 津波跡  河彦 

 社会部旧友会同人には、他にも俳句を楽しんでいる人がおられたと思いますが、最近作を寡聞にして存じ上げないので、割愛。失礼!

(堤  哲)