随筆集

2021年3月11日

クマノザクラでお花見を、と元大阪社会部の斎藤清明さん

 クマノザクラを、故郷の古座川(和歌山県)流域で愛でてきましたので紹介します。

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クマノザクラを愛でる斎藤さんご夫妻
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 去年は3月中旬に行って少し遅かったので、今年は早目にと先週4~5日に出かけました。ちょうど満開になったところでした。

 クマノザクラは、3年前に森林総合研究所(八王子市)が新種として日本植物分類学会誌に載せたものです。日本のサクラ属の野生種としては、1915年にオオシマザクラが発見・命名されて以来、百年余ぶりのこと。

 わたしが少年のころから親しんできたのが、じつは新種だったのです。

 ふつうのヤマザクラはいつも4月に咲くのに、古座川べりでは3月に咲くのもあって、「早咲きのヤマザクラ」と呼んでいました。それを近年になって森林総研が地元の県林業試験場の協力で調べると、ヤマザクラとは別種に分類できたのです。

 春に帰郷するたびに山にいち早く咲いているのを見惚れてましたが、クマノザクラということになって、いっそう美しく、誇らしく思えてきます。

 本州の最南端の清流に映え、濃い緑の山に散りばめられ、なんともいえない風情です。

 英国の阿部菜穂子さん(「チェリー・イングラムー日本の桜を救ったイギリス人」=岩波書店=の著者)に知らせると喜んでくれ、フェイスブックで紹介してくれました。彼女が新人で京都支局に来た時以来のつき合いです。

(斎藤清明=元京都支局・大阪社会部)

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