随筆集

2021年9月22日

「毎小」60年記念誌をバックアップしてくれた辻政信の二男

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  読売新聞の前田啓介記者(2008年入社)が『辻政信の真実 失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う』(小学館新書)を出版した。2018年、辻の地元石川県の金沢支局に転勤したのを契機に取材を始め、県版で連載。さらに取材を続け、400ページを超える著作になった。

  読み始めてすぐ、辻政信の二男毅さん(1942年生まれだから、来年80歳)が登場する。その毅さんに、毎日新聞学生新聞本部が大変お世話になったことを思い出した。

  毎小(毎日小学生新聞)は1936(昭和11)年12月22日「大毎小学生新聞」として創刊した。東京では翌37(昭和12)年1月5日、時事新報から継承した「日本小学生新聞」を「東日小学生新聞」と改題した。

  毎小創刊60年を記念して学生新聞本部は『毎日小学生新聞にみる子ども世相史』を出版した(1997年1月発行)。B5判448ページの大部のものである。定価4,500円。

  海野十三の連載SF小説「火星兵団」が毎日待ち遠しかったと、JR東海の初代社長須田 寬さん(90歳)や「日本沈没」の作家小松左京さん(2011年没80歳)。

  「両手を大きく拡げて、一人前の格好をして読みました」と作家の田辺聖子さん(2019年没91歳)。

  子どもに人気があった。秋玲二の「勉強まんが」は1939(昭和14)年に始まった。漫画家では手塚治虫、藤子不二雄(安孫子素雄・藤本弘)、松本零士、園山俊二らがデビューをしている。

  この記念誌づくりに情熱を燃やしたのは元毎小編集長の谷僖純さん(2005年没66歳)だった。情報調査部のマイクロリーダーでバックナンバーをプリントアウト、ワープロで夜遅くまで原稿を叩いた。

  出版してくれたのは、NTTメディアスコープ(現NTTアド)。ここは当時の毎小編集長赤池幹さんが見つけてきたのか。

  そのNTTメディアスコープの社長が辻毅さんだった。「勉強まんが、懐かしいですね。私も毎小を読んで育ちました」と、記念誌出版の応援団になってくれた。「社長案件」で出版話が進んだのである。

  辻社長は、東大法卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。テレホンカードの生みの親といわれ、日本初のテレカのデザインを岡本太郎に依頼。パンダのトントンのテレカは800万枚を売り上げ、テレカの売り上げ日本一を記録したという。

  あれから25年——。毎小は、ことし12月に創刊85年を迎える。新聞が読まれなくなっているといわれるうえに、少子化。頑張れ「毎小」と声援を送りたい。

(堤  哲)