随筆集

2021年10月28日

スワローズ優勝を支えた野村語録!?

 スワローズ優勝、おめでとう!

 『国鉄スワローズ 1950-1964』(交通新聞社新書)の著者としてお祝いを申し上げます。

 監督2年目、高津臣吾監督(52歳)は、昨年の最下位から一気にセ・リーグ制覇だ。恩師・野村克也さん(2020年2月11日没84歳)について聞かれ「褒めてはくれないでしょうね。ようやったな、ぐらいは言ってくれるかもしれないけど。ふんって、笑っているんじゃないですか」と答えた。

画像
左から高津臣吾、野村克也、衣笠剛球団社長(2020年1月20日撮影)

 ノムさんが急逝される22日前の写真だ。明治記念館で開かれたスワローズOB会に車イスで現れたノムさん。愛弟子の監督就任がうれしかったのか。私(堤)がスワローズOB会にお邪魔するようになった2011年以降、ノムさんの姿は初めてだった。

 前年2019年は小川淳司監督で最下位。「高津新監督で来シーズン優勝の可能性は」と司会者の質問に、ノムさんは「今のセ・リーグなら監督が頭を使えば優勝できますよ」と答えた。

 高津監督1年目の2020年は最下位。ことしは「頭」を使った成果が出たのか。ナインを支えた「絶対大丈夫」が決め手だったのか。

毎日新聞の「ひと」欄。

 《野村監督時代は毎日、試合前に1時間のミーティングがあった。監督の言葉を必死にメモしたノートは、ボロボロになった今でも自宅のすぐ手の届くところに置いてある。今年は、就任1年目よりも「ヒントはないか」とめくる機会が増えた》

読売新聞掲載の高津監督の手記。

 《ベンチにマイクが置いてあったら面白かったと思う。気の利く一言や時には笑わせる一言が飛び交っている。みんなで一生懸命戦うという空気が充満している》

 《9月の阪神戦前のミーティングで「絶対大丈夫」と繰り返した。負けが込み、ちょっと重い雰囲気になっていたから》

 《10月23日に巨人に負けた後には「腹くくっていったれぃ!!」と記した紙をみんなの目につく所に貼った》

 《優勝で僕なりの答えは出したが、野村監督の採点は50点かな。「一回勝ったくらいで……」。そんな声が聞こえる》

 朝日新聞の記事に、高津投手の戦績があった。《広島市出身。広島工高3年時に春夏の甲子園に出場したが、2番手投手だったから登板はなかった。亜大でもエースの陰に隠れる存在だった。そんな経験も、選手への接し方に生きている。

 現役時代はヤクルトの抑え投手としてリーグ優勝5度、日本一に4度輝いた。遅いシンカーをひっさげ、35歳で大リーグに挑戦。日米通算313セーブを記録した》 野村チルドレン、苦労人監督のセ・リーグ制覇だった。

 野村克也監督の偲ぶ会が12月11日に神宮球場で行われる。ノムさんが在籍したヤクルト、楽天、阪神、ソフトバンク、西武、ロッテの6球団が共同発起人で、午後2時から同3時30分までは一般にも公開される、と発表があった。

(堤  哲)