随筆集

2022年3月16日

57年ぶりに蘇った堀一郎さんのスクープ

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松代地震の発光現象を伝える毎日新聞1965年12月29日付朝刊

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『徹底図解 メガ地震がやってくる!』60p

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 「こんな珍しい写真を入手しました」。

 長野支局3年生、堀一郎さん(2019年没78歳)が興奮して支局に戻って来たことを憶えている。松代地震の発光現象を地元の歯科医・栗林亨さん(当時62歳)が写真撮影に成功したというのだ。

 特ダネ写真として、1965(昭和40)年12月29日付社会面トップで掲載された。

 それが何故、今、蘇ったのか。

 地震の発生は、従来プレートテクトニクス説で説明されていたが、最近発刊された『徹底図解 メガ地震がやってくる!』(ビジネス社)は「地震は熱エネルギーマグマの移動で連鎖・発生する」と説く。「国民の生命と財産を守るため、あえて世に問う“仮説の卵”」とうたい、松代地震の発光現象も図解で紹介している。

 地震地質学者の角田史雄埼玉大学工学部名誉教授と、経産省現役官僚・藤和彦さんの共著。

 この2人を結び付けて、この本をプロデュースしたのが、元東大全共闘の前田和男さん(74歳)。『続・全共闘白書』(情況出版)の編纂者の1人として2020年3月19日付毎日新聞「ひと」欄で紹介された。

 その前田さんは「本書の最大の売りは、アメリカの地質調査所とスミソニアン博物館の地震データベースにアクセスして読者自身が予知作業をできることです。私もはまってしまい、週に1回はアクセスして巨大地震発生の可否を確認しています」と言っている。

 詳しくは、『徹底図解 メガ地震がやってくる!』を読んでください。

 松代地震の発光現象は、栗林亨さんが1966年2月12日04時17分、同年9月26日03時25分にも撮影に成功。松代地震観測所松代地震センター「松代群発地震50年特設サイト」に掲載されている。

 《松代群発地震は1965(昭和40)年8月3日に3回の体に感じない地震から始まりました。地震活動は次第に活発になり、翌年の1966年(昭和41年)4月17日には震度1以上の地震が1日に585回(うち震度4と震度5が各3回)観測されました。松代群発地震の最大マグニチュードは5.4、最大震度は5でした。一連の群発地震により、地すべり、地割れ、家屋の倒壊・損壊、湧水による農業被害などがありました。死者は出ませんでしたが、度重なる地震により住民に多大な心理的不安をあたえました。松代群発地震は1966年をピークに地震活動は次第に沈静化していきますが、地震活動は現在でも続いています》

 以上は、同サイトの解説である。

(堤  哲)