随筆集

2024年9月17日

直哉、実篤、龍三郎…大原美術館開館20周年の壮観・「毎日グラフ」の展示も

 猛暑の中、大原美術館(倉敷市)で特別展「異文化は共鳴するのか?大原コレクションでひらく近代への扉」(9月23日まで)を鑑賞した。

 大原コレクションは、洋画家児島虎次郎(1881~1929)が収集した。

 「エル・グレコの《受胎告知》、モネの《睡蓮》、ゴーギャンの《かぐわしき大地》などで知られる大原美術館ですが、思い切って常設展示を変更し、特別展にチャレンジすることにしました」

 昨年7月就任した三浦篤館長(東大名誉教授)の挨拶だが、展覧会の詳細は同美術館のHPでどうぞ。https://project.ohara.or.jp/specialexhibition

 その第3章:東西の交流というコーナーに、「毎日グラフ」1950(昭和25)年12月10日号が展示されていた。11月14~15日、2日間にわたって開かれた大原美術館開館20周年のお祝いの模様が見開き2㌻で紹介されているのだ。

画像

 壁面いっぱいに大原孫三郎(1880~1943)コレクションの作品。その前に、志賀直哉、武者小路実篤、梅原龍三郎、安井曾太郎、長与善郎、司会の柳宗悦が並ぶ。

 他に河井寛次郎、浜田庄司、棟方志功。

 まず主催者大原総一郎の挨拶、続いて長与善郎の公開講演。午後2時からピアニスト原智恵子の先生ラザール・レヴィの演奏が2時間半。そして夜は原千恵子の演奏会。

 写真は2日目の午前の公開座談会。午後は河井寛次郎、浜田庄司が陶器論。夜は柳宗悦夫人兼子女史のアルトが「美しくこのサロンに流れたのである」と記事は結ばれている。

 解説に《大原美術館は、雑誌『白樺』と民藝運動との結節点を物語るいくつかの資料を所蔵しています。第3章では、『白樺』同人から永久寄託された西洋美術作品と大原孫三郎・總一郎が支援した民藝運動ゆかりの作家たちの作品にそれらの資料群を加え、異文化への関心と多文化の混交、その連続性を概観します》とあった。

 『白樺』は1910年4月創刊、「民藝」という言葉が生まれたのは1925年12月末のこと、とある。来年は『白樺』創刊115年、「民藝」が生まれて100年になるのか。

画像
「毎日グラフ」1950年12月10日号

(堤  哲)