2025年3月10日
MITで経済学者サムエルソン教授にインタビュー


「ゆうLUCKペン」第47集の出版記念パーティー(2025年2月22日「花」)での余話をもうひとつ。
経済部出身の69年入社福島清彦さん(80歳)と、70年入社高谷尚志さん(79歳)が隣り合って座っていた。
高谷さんは「72年にマサチューセッツ工科大学でポール・A・サムエルソン教授(70年にノーベル経済学賞受賞、2009年没94歳)にインタビューをしました。当時、フルブライト留学でプリンストン大学にいた福島さんに手伝っていただきました」と話した。
サムエルソン教授の著書『Economics』は、世界中の大学で教科書として使われていて、私(堤)も早大1年生の時、原書講読がこの分厚い『Economics』だったのを思い出した。
当時、高谷さんはエコノミスト編集部員。77年5月24日付「エコノミスト」誌に7㌻にわたって掲載された。

どうしてノーベル賞を受賞した高名な経済学者にインタビューしようと思ったのか、きっかけを聞いた。
メールでの返信。「JALがアンカレッジ回りのニューヨーク路線を開設、初フライトの招待がエコノミスト編集部に来て、キミが行って来なさいと編集長からいわれた」
「その頃、一橋大学の学長を終えて、朝日新聞の特別論説委員とかになっておられた都留重人先生と交流がありました。先生が探していた資料(本)を本郷の古本屋で入手、お届けしました。以来、当時有楽町にあった朝日新聞の先生の個室へ、しばしばお邪魔することになりました」
「都留先生は戦前、ハーバード大学大学院でサムエルソンと一緒に研鑚を積んだ仲。で、『今度ニューヨークへ行くのですが、MITのサムエルソン教授に紹介状を書いていただけませんか』と頼んだら、その場でさらさらと紹介状をしたためてくれたのです」
「あとは毎日新聞のニューヨーク支局長が連絡をとり、『ツル君の紹介状があるならば』で即OK」となりました」
「福島さんは、プリンストン大学に留学中でした。で、英語が得意な福島さんにアテンドしてもらったわけです」
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福島さんは、毎日新聞を77年末退社、野村総研に入社してワシントン事務所長・99年ヨーロッパ野村総研社長。その3年でEU加盟国の首都をすべて訪問し、政策当局者や経営者と意見交換したという。その間、ジョンズ・ホプキンス大学大学院の教授として日本経済を教えた。
2005年4月から立教大学経済学部教授。2010年3月65歳定年で退職した。
経済関係の著作は10冊以上にのぼり、高橋亀吉賞・大来佐武郎賞を受賞している。同僚の経済学者が「福島さんの著作は、人間の幸福を実現するような市場経済はどうしたらつくれるか、という考えが貫かれている」と紹介している。
「ゆうLUCKペン」は第18集からの常連執筆者で、「同人に受け入れてくれたのは千葉支局の先輩山田隆三さん(2010年没75歳)」と書いている(第19集1995年刊)。
(堤 哲)