2024年10月7日
名勝100年「小金井の桜」、阿部菜穂子さんが英国から帰国し記念講演
——―ロンドン在住のノンフィクション作家、阿部菜穂子さんの著書『チェリー・イングラム——日本の桜を救ったイギリス人』(岩波書店)は英、独、仏など8カ国語で出版され、話題を呼んでいますが、5日、小金井市市民会館で記念講演会が開かれました。阿部さんは私が毎日新聞の京都支局長をしていた40年前、初の女性記者として配属されて来た仲。久しぶりの対面で、中身の濃い講演を聞かせてもらいました。イギリス人のご主人、二人の息子さんも同席され、本当に楽しいひとときでした。
これは社会部OB・毎日映画社元社長の磯貝喜兵衛さん(95歳、写真左から2番目)がFacebookにアップした記事である。
小金井市の桜は、江戸時代に植えたヤマザクラ並木として知られ、1924(大正13)年に吉野(奈良)、桜川(茨城)とともに国の名勝に指定された。しかし、戦中・戦後に衰退。2007(平成19)年に「小金井桜」の復活を目指して「名勝小金井桜の会」(小沼廣和現会長)が発足。名勝指定100年を記念して、ロンドンから阿部さんを迎えた。
会場の商工会館3階の萌え木ホールは聴衆約100人で埋まり、A4判28㌻のプログラムには、毎友会HPで紹介した阿部さんの記事も掲載された。
阿部さんは、家族とともに一時帰国。「夫に風邪をうつされて、もう治ったのですが、声がうまく出るか」と断わったが、2部に分けた講演は、桜を通じての日英の交流を分かりやすく解説した。
毎日新聞関係では、元編集局長、小川一さん(写真右端)も参加。「阿部さんとは81年の同期入社。女性記者が2人入社、その1人は私の妻なんです」と話した。
最後に阿部さんの二男賢司さん(25歳、写真左から3人目)が「お母さんのやっていることは、素晴らしい!」という趣旨の挨拶を日本語のメモを見ながら話し、会場から大きな拍手を受けた。
(堤 哲)
〈小川一さんのフェイスブックから〉
イギリスで大活躍のジャーナリスト、阿部菜穂子さんの講演会に参加しました。阿部さんと私は毎日新聞社の1981年同期入社です。会場は、長い歴史を持つ桜の名所で地域の人たちが桜の保護と生育に懸命に取り組む小金井市での講演でした。会場は満員、市長も教育長も参加し、小金井市が阿部さんの講演に期待する大きさを実感しました。
250以上の種類を誇る日本の桜。しかし、日清・日露戦争の祝賀でソメイヨシノが列島を席巻、クローンであるソメイヨシノは一斉に咲き一斉に散ります。多様で「生」の象徴であった桜が、特攻をはじめ国への「死」を強いる軍国思想に利用されてしまったという指摘は目から鱗でした。充実した時間になりました。阿部さん、ありがとうございました。さらなるご活躍をお祈りします。
イケメンの夫君と息子さんたち、女優さんかと思った息子さんの奥さまと一緒に写真を撮りました。