2022年2月24日
毎日フォント「M字」の生みの親・小塚昌彦さん
毎日新聞の基本活字をデザインした小塚昌彦さん(93歳)の元気な写真を創刊150年の特集紙面で拝見した。定年退職後、モリサワのタイプデザインディレクターを務めたことからか、「150周年おめでとうございます」を各種ロゴでレイアウトしたモリサワの祝賀広告と見開き特集になった。
小塚さんの功績は、1983年1月1日から実施した「M字」の開発だ。タテ2.58㍉、横3.07㍉。従来より26.9%拡大、1段の字数は15字から13字、1㌻86行(それまで96行)とした。紙面がすっきりして読みやすくなったと好評だった。
小塚さんは1947年入社。毎日書体をつくった元祖は村瀬錦司さん(1892-1962)で、37歳も年上だった。技術部副部長・古川恒さん(新聞印刷ガイドブック発行で他社の技術者とともに1962年度日本新聞協会賞技術部門受賞)の人選で、加賀谷薫さん(48年入社)らと有楽町の旧館4階の「種字研究室」に入れられた。
デジタル時代。横書きが主流となって「横組みに適した新しい書体が必要だ」と指摘する。「ひらがなはもともと前後の文字がつながった縦書きの連綿体として生まれたため、ぶつぎりにしてヨコに並べても良い書体は生まれない」と語っている。
著書に『ぼくのつくった書体の話 : 活字と写植、そして小塚書体のデザイン』(2013年12月、グラフィック社)。
この特集で、東京本社編集編成局に「フォント課」があるのを初めて知った。現在、書体デザインを専門に学んだ中林透さん(61歳)吉田千恵さん(29歳)木村文香さん(25歳)の社員3人が在籍。紙面で使用する書体の作成・管理のほか、社外向けの書体も作成している、とあった。
(堤 哲)
下段の写真は、三省堂HPの雪朱里さんの連載《「書体」が生まれる―ベントンがひらいた文字デザイン》から借用しました。