2022年8月18日
山を愛して、毎日企画サービス社長、小野博宣さんは登山ガイドの資格も
毎日新聞社を2019年に選択定年退職し、毎日企画サービス(毎日新聞旅行)の代表取締役社長に就きました。ですが、当社の社長就任は意図したものではありませんでした。登山ガイドの資格を持つ私には「退職したら、山小屋の仕事を手伝おう」という夢があり、その準備も進めていました。そんな折に、上司から社長就任を勧められました。
なぜお断りしなかったのか。それは当社が「山の会社」だったからです。企画サービスには、イベントや事業を手がける企画部と、旅行部があります。旅行部は、「山のツアー会社」として知られていました。夏の深夜になると、パレスサイドビルから出発する登山バス「毎日あるぺん号」は当社が運航しています。「便利な登山バス」として、他のツアー会社にもご利用いただいています。また、主力商品も山旅を多く手がけています。
私が山と出合ったのは、40代半ば、宇都宮支局長だったころです。地元の登山愛好家に、初めての登山として那須岳に連れて行ってもらいました。その風景の美しさに心を奪われました。支局長として多忙な生活を送る私にとって、山と自然は清涼剤となったようです。その話を、登山愛好者である東京社会部の先輩記者や経済部の同期生に話すと、2人はよく山に連れて行ってくれるようになりました。山の技術と体力をつけて、2010年には社内クラブとして「毎日新聞山の会」(現在は発展的に解消)を発足させました。また、2014年には、社団法人日本山岳ガイド協会の登山ガイドの資格も取得しました。
山小屋ではなくとも、山を仕事にできたことはうれしく思います。その反面、「お客様の安全」「毎日あるぺん号の絶対無事故」に気を配らなければならなくなりました。私が就任直後、大手旅行会社の社長がお詫び会見を開きました。山のツアーでお客様を死亡させてしまったからです。深々と頭を下げるその姿を見て、「あれは明日の私だ」と思わざるを得ませんでした。「絶対無事故、絶対安全」を祈らない日は1日もありません。毎日新聞社にいた時と違った緊張感の日々を送っています。
(小野 博宣)
小野博宣さんは1985年、毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。
※登山コラム≪山記者小野博宣の目≫は毎日企画サービスの「まいたびⓇツアーレポート」
http://maitabi.blog.jp/archives/40452754.html
でどうぞ。