元気で〜す

2022年11月9日

53年入社北野栄三さん(92歳)と先斗町「ますだ」で

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 先斗町の「ますだ」。毎日新聞の京都支局、いや大阪本社の記者たちの馴染みの店である。

 その「ますだ」で、53年入社、京都在住のOB北野栄三さんにご馳走になった。1930年生まれだからことし92歳。元気だ。『メディアの人々』(2000年刊)『メディアの光景』(2010年刊、いずれも毎日新聞社)の著作があり、大阪社会部の昔話を伺いに出掛けたのだ。

 北野さんは、大阪本社社会部→東京本社「サンデー毎日」編集部→毎日放送(報道局長・テレビ編成局長・テレビ制作局長・常務取締役)→90年和歌山放送社長・99年同会長→01年バーチャル和歌山社長・06年同会長。その間に同志社大学文学部・立命館大学国際関係学部講師、和歌山経済同友会代表幹事、関西民放クラブ会長を務めたと著書の履歴にある。

 社会部の昔話は、来年2月発行の「ゆうLUCKペン」に譲って、「ますだ」の話。

 右側の写真のバックは、作家の司馬遼太郎が墨書したもののコピーである。写真に83.11.27の日付が入っている。

「瀬戸内の奈良本丸の走るなる
八尋の海の秋の永きや
依田の山添下村荒るる
秋の北風森谷に満つる
猛き武夫なる
思ひ遥かな夏の藤波 遼」

 作家瀬戸内寂聴、歴史家奈良本辰也(65入社奈良本英佑の父親)、脚本家八尋不二、画家秋野不矩、脚本家依田義賢、画家下村良之介、考古学者森浩一、哲学者梅原猛ら、当日の出席者の名前が読み込まれている。

 これがその屏風である。毎日新聞HPに載っていた。

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 この日の集まりは元毎日新聞副社長・大阪本社代表の藤平寂信さん(本名・信秀、2015年没92歳)の得度祝いだった。司馬さんが主催したという。

 藤平さんは大阪社会部から東京社会部デスク、学芸部長、中部本社編集局長、取締役になって83年6月代表取締役副社長を退任。寂聴さんに相談して出家、天台宗僧侶になった。

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おたかさん『京の女将たち』
(柴田書店1980年刊)から

 この会には、北野さんも主催者側の一人として参加、写真の左側「秋の北風、の北は北野栄三さんです」と「ますだ」三代目の太田晴章さんが解説してくれた。

 カウンター席の前に、司馬さん筆の「桃唇向陽開」の額。「これは読みようによって、ちょっとエッチかな」と北野さん。

 「ますだ」は1952(昭和27)年創業。名物女将「おたかさん」益田たかさん(1981年没68歳)が開いたおばんざい店。おばんざいは、京都の一般家庭で昔から作られてきたお総菜だという。

 「おたかさんは、客を見る目があって、歴代京都支局長の評価は正しかったですよ。清水寺の早朝参拝を30年間も続け、葬儀は清水寺で大西良慶貫主のもと、司馬遼太郎さんら私も含め馴染みの客が主催して行われました」と北野さん。

 私も長野支局の先輩堀一郎さん(2019年没78歳)に連れて行ってもらったことがある。

(堤  哲)