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2018年1月29日

校閲記者の目ーあらゆるミスを見逃さないプロの技術

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 紙面を守るゴールキーパーだ、という。

 「誤りを見逃す=失点しても、自ら点を取りに行って挽回するようなことはできません。けれど、0点に抑えることはできる。負けない試合はできるのです。これこそ校閲の存在意義です」

 毎日新聞の校閲グループが元気だ。『校閲記者の目』(2017年毎日新聞出版刊、1,512円)に、校閲記者の自負がまずあった。

 この本の売れ行きが好調で、版を重ね、4刷が出ている。

 私が現役の時は、活版だった。活字を新聞1ページ大に組み上げる「大組」は、いつも降版時間ギリギリだった。大刷りは、まず校閲に回るが、チェックする時間はほんのわずか。ゴールキーパーは天手古舞いだった。

 新聞社では下積みの仕事と思われていたが、今、校閲記者志望が増え、人気なのだという。石原さとみ主演のドラマ「校閲ガール」(NTV)が高視聴率をとった影響もあるのか。

 毎日新聞のHPでも、積極的に情報を発信。「SNS(ソーシャル・ ネットワーキング・サービス)を駆使して、ネット時代の読者との新たな『つながり』に成功している」と、編集担当取締役は評価している。

 本の著者紹介欄。「毎日新聞は東京に40人余り、大阪に30人余りの校閲記者がいる。原則として広告などを除く全紙面について記事のチェックをしており、いわば新聞の『品質管理部門』。書籍などと比べてかなり短時間で仕事をこなさなければならないのがつらいところ。朝刊の校閲作業は深夜になるため生活は『夜型』である」

 ・午前0時を越えて体力充ちてをり大連立不発の記事を読み直す
 ・ガレー船とゲラの語源はgalleyとぞ 波の上なる労働を思ふ
 ・八月は被爆と野球に追ひまくられ眼痺れるころ朝刊成る
 ・人の死を伝へる記事に朱を入れる仕事 くるくるペンを回して
 ・文字として過ぎてしまった人の死を 缶コーヒーは手を温める
 ・「コンセントを抜く」は間違ひ「プラグを」と直して節電の貼り紙とす
 ・死者の数を知りて死体を知らぬ日々ガラスの内で校正つづく

 本の最後にあった、現役校閲記者の短歌である。

 校閲グループデスクの岩佐義樹さんは『毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術』(ポプラ社・1,404円)を出版した。

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写真は、元気いっぱいの校閲グループの皆さん

(堤  哲)