2018年5月2日
「点字毎日」に日本記者クラブ賞特別賞
毎日新聞が発行する日本唯一の週刊点字新聞「点字毎日」に、2018年度の日本記者クラブ賞の特別賞が贈られる。贈賞式は5月23日。
「点毎」は1922(大正11)年5月11日、創刊した。戦争中の用紙難で週刊から旬刊になったことがあるが、休刊したことはない。4年後、創刊100年を迎える。
発刊の経緯が「毎日新聞百年史」にある。
「新聞社というものは長い間には、知らないうちに罪を重ねているものだ。善根を積んで、同業者の罪滅ぼしをしたらどうか」
ロンドンに留学中の「大阪毎日」記者河野三通士は、好本督(ただす)氏からこういわれた。好本氏は、網膜色素変性症のため視力が減退、英国で貿易商を営む傍ら盲人福祉に尽くた。盲人初の文部省派遣海外留学生中村京太郎氏(当時32歳)を費用全額負担で実現させた。『日英の盲人』(1906刊)を著している。
河野は、点字新聞の発刊を提案する。これを当時の本山彦一社長が受け入れた。大阪毎日新聞の新社屋堂島本社(現堂島アバンザ)完成記念として「サンデー毎日」「英文毎日」などともに創刊した。採算を度外視した社会貢献事業だった。初代編集長は、中村京太郎氏を迎えた。
「点毎」は、1963(昭和38)年に菊池寛賞を受賞した。それを記念して翌64(昭和39)年に「点字毎日文化賞」を創設、第1回の受賞者に好本督氏を選んだ。
「点字毎日」は視覚障害者のために、日本で唯一、独立した取材と編集で発行している点字新聞である。視覚障害者に役立つニュース、暮らし・イベント情報、ラジオ・テレビ番組などを掲載している。
A4判、60ページ。創刊から続く「点字版」のほか、弱視者や家族、ボランティアの人たちに利用されている大きめの活字の「活字版」(タブロイド判、12ページ)、音声で聞ける「音声版」などを出している。問い合わせは点字毎日(06・6346・8388)へ。
(堤 哲)