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2019年1月4日

20%の1779紙が廃刊 部数15年で4割減

 元日付けの東京新聞に、「広がる米のニュース砂漠」米国内で地元紙が減っている、という記事があった。

 新聞の購読者減による各紙の発行部数減は深刻だ。日本では、「県紙」が頑張っているので、地元に日刊紙がない、という事態にはなっていないが、人口減の時代に、発行部数の反転攻勢は不可能に思える。

 アメリカのローカル紙事情を、同紙の記事から――。

 UNC(米ノースカロライナ大学)が2018年10月に公表した調査報告「広がるニュース砂漠」によると、米国内の新聞は7112紙(うち1283紙が日刊)で、04年から1779紙(20%)減った。全米3143郡のうち2000郡以上で、地元の日刊紙がない。

 地方紙の衰退の背景にあるのが、インターネット社会が進む中、紙媒体としての新聞の読者が急減していることだ。UNCは「新聞の部数の減少を上回るペースで減り、さらに加速している」と指摘する。

 UNCによると、米国内の平日の新聞発行部数は15年間で、1億2200万部から7300万部へと4割縮小。特に直近4年間だけで2000万部も減った。「発行部数や取材体制の縮小が読者離れや広告離れを促し、経営側はデジタル時代への対応に必要な投資よりも経費節減に走る」という悪循環の構図を指摘する。

 地元紙不在の影響としてよく挙げられるのが、西部カリフォルニア州ロサンゼルス郊外にあるベル市の事例だ。

 米連邦通信委員会(FCC)によると、市幹部が1993年時点で7万2000ドル(現在のレートで約790万円)だった給与を不正に10倍超の78万ドルまで引き上げていた。2010年にロサンゼルス・タイムズの報道で発覚したが、不正は遅くとも04年には始まっていた。市政を監視してきた地元紙が98年になくなったことが要因とされ、FCCは報告書で「取材の縮小は汚職や税金の無駄遣いの危険を高める」と指摘した。

 カリフォルニア州の行政監視NPO「カリフォルニアンズ・アウェア」のテリー・フランケ相談役は言う。「ベルのような極端な事例を私は他に知らない。ただ、取材する地元紙が存在しなければ、知られることもないだろう」 

(堤 哲)