2020年1月8日
種村直樹コレクションが鉄道工学ギャラリーに誕生
東京豊洲の芝浦工大附属中学高等学校にある「しばうら鉄道工学ギャラリー」に、レイルウェイ・ライター故種村直樹さん(2014年11月6日没、78歳)のコレクションコーナーが新設され、2020年1月7日にオープンした。
種さんは、1959(昭和34)年入社。高松支局→大阪本社社会部→中部本社報道部。ここで国鉄名古屋鉄道管理局の記者クラブに配属になったのが鉄道記者の始めだった。その後、東京本社社会部で国鉄本社の「ときわクラブ」担当となり、72(昭和47)年の国鉄100年のときは、1人で特集記事を書いた。
社会部内の配置替えで国鉄ときわクラブを外されると、会社の無定見な人事異動に怒って退社、レイルウェイ・ライターとして独立した。73(昭和48)年だった。
種村コレクションの同ギャラリーHPにある紹介文——鉄道旅行のノウハウをまとめた「鉄道旅行術」をはじめ、気が向くままに汽車旅を楽しむ「気まぐれ列車」シリーズ、日本の沿岸を反時計周りに旅する「日本列車外周の旅」シリーズ、また東京駅と共に歩んだ80年を鉄道史の観点から描いた「東京ステーションホテル物語」などの著作がある。主な所蔵品として、事務所デスク周辺の執筆アイテム、赤字で修正コメントの入った自著などがある。
右下の写真は郵便貯金通帳である。『旅のついでに3334局 日本縦断「郵便貯金」の旅』(徳間書店1995年刊)、『ただいま3877局 気まぐれ郵便貯金の旅』(自由国民社1997年刊)の著作もある。
旅先の郵便局に寄って「貯金の旅」も楽しんでいたのだ。
「しばうら鉄道工学ギャラリー」は、芝浦工大附属中学高等学校が2017年4月に豊洲に校舎が新築されたのに伴い、校舎内に設置された。
同校の前身は、1922(大正11)年に丸の内に開校した「東京鉄道中学」。その年は日本に鉄道が開通して50年。それを記念して貧乏で中学校へ行けなかった鉄道職員に「中学程度の基礎教育を」という考えで生まれた。
発案者は、当時鉄道省経理局会計課長だった十河信二だ。のちの国鉄総裁、東海道新幹線の生みの親である。全国各地に「鉄道中学」を設置する計画だったが、実現したのは東京だけだった。
鉄道50年記念事業で鉄道博物館(のちの交通博物館)も新設されたが、余談ながらこの50周年記念式典の10日後に第1回全国鉄野球大会が芝浦で開かれている。札幌、仙台、東京、名古屋、神戸、門司の6鉄道局チームで争い、門鉄が優勝した。都市対抗野球大会が始まったのは、1927(昭和2)年だから、国鉄大会は5年も早い。
ギャラリーには、同校の鉄道研究部が製作したジオラマが設置されている。模型を持参すれば、走らせることもできるという。
窓際には、列車の座席が5列ほど。脇のレールにはターンテーブル。書架の向きを簡単に変えられるのだという。
個人のコレクションでは、元国鉄マンの星晃、関長臣、元交通博物館の岸由一郎、鉄道切符コレクターの築島裕など。
入場無料。開館は火曜日~土曜日の10時~12時半、13時半~16時。
有楽町線豊洲駅から徒歩7分、ゆりかもめ新豊洲駅から徒歩1分。
江東区豊洲6-2-7 ☏03・3520・8516
(堤 哲)