2020年11月16日
「早スポ」 も 「ケイスポ」 も東日印刷でつくっています!
秋の東京六大学野球リーグ戦で早大は慶大に連勝して5年ぶり46回目の優勝を飾り、学生新聞「早稲田スポーツ」(早スポ)は優勝号外を発行した。
実は、「早スポ」も「ケイスポ」(慶應スポーツ)も、ともに東日印刷で制作・印刷している。野球の早慶戦の前に、スポニチ本社もある東日印刷ビル(江東区越中島)でひと足早く、学生記者たちの早慶戦が展開されているのだ。
この優勝号外も東日印刷の輪転機でカラー印刷したもの。東日印刷は、毎日新聞グループの中核企業の一つで、毎日新聞やスポーツニッポン新聞の印刷がメーンである。
よく見ると、紙面の左端に東日印刷の突き出し広告が載っている。「コロナ禍で広告の出稿が減って、学生さんたちは苦戦しているようです。企業等のご紹介をよろしくお願いします」と営業担当社員からのメッセージが付いていた。
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野球の早慶戦特集号は、いつもは神宮球場周辺で1部100円で販売。早スポ、ケイスポにとって貴重な財源だった。ところが今季はコロナ禍で販売活動が中止となり、新聞は入口の通路に置いて無料配布となった。
60年前、創刊2年目の早スポは、早慶6連戦の新聞販売で赤字を解消した経緯があった。創刊メンバーで2代目編集長西川昌衛(81歳、元日本信販、現ニコスカード専務)は「6連戦は救いの神だった。あの時、赤字倒産していたら今の早スポの隆盛はなかった」と述懐する。私(堤)は、当時早スポの1年生記者で、慶大担当として日吉のグランドで前田監督、渡海主将らにインタビューしている。西川のあとの3代目編集長となった。
そして2021年、第62代編集長に初めて女性が就く。
今秋の早慶戦は、60年前の早慶6連戦と奇妙に重なっていた。天皇杯に一番近くにいたのが慶大だった。コロナ禍の影響で、リーグ戦は2試合制。1回戦で勝てば優勝、9回引き分けなら2回戦引き分けでも優勝。1回戦で負けても2回戦で勝てば優勝だった。
60年前は、早慶戦前のリーグ戦順位が①慶大8勝2敗、勝点4②早大7勝3敗、勝点3。で、慶大は勝点をあげれば優勝。早大は2連勝で優勝、2勝1敗なら慶大と同率となって優勝決定戦――。
そのうえ6連戦を戦った早大石井連蔵、慶大前田祐吉両監督(ともに故人)がことし1月にそろって野球殿堂入り。早大小宮山悟(55歳)と堀井哲也(58歳)両監督は、2人の教え子でもあった。
一球入魂の精神野球か、エンジョイベースボールか。60年前のうっぷん晴らしか、返り討ちか?
観客はネット裏から内野席までで、応援も拍手だけの制限がついた。
空っぽの外野席はライト後方に早大応援部、レフトに慶大応援指導部。60年前、慶大の応援席には初めて女性バトントワラーが登場したが、今回、慶大のリーダーはポニーテールの女性だった。男性部員の不祥事でリーダー部は解散処分を受けていたのだ。
▽1回戦 慶 大000 000 100 ┃ 1 早 大000 001 20Ⅹ ┃ 3
早大はキャプテン早川、慶大は木澤と両エース対決。7回裏、8番蛭間が木澤投手から左翼席に2ランホーマーを浴びせた。早川は15三振を奪う好投だった。
▽2回戦 早 大001 000 002 ┃ 3 慶 大001 100 000 ┃ 2
1点を追いかける早大は、9回2死走者なし。マウンドは7人目のエース木澤。7番1年生の熊田が安打で出塁。打者蛭間。慶大堀井監督は即動いた。投手を抑えの切り札左腕生井に代えた。その1球目、蛭間の打球はセンターバックスクリーンへ一直線。劇的な逆転劇だった。最後は、早大のエース早川がピシャリと抑えた。
早大小宮山監督は「野球人生で一番感動した試合」と声を詰まらせた。そして「石井さんの墓前にいい報告ができます」。
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『早慶戦全記録』(啓文社書房刊、@1800円+税)という本を昨秋出版しました。「三田評論」2020年2月号に三田体育会副会長・對馬好一氏が書評を書いてくれました。
https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/other/202002-1.html
早慶戦のすべてが分かります。是非ご一読ください。
(堤 哲)