2021年1月25日
追悼・安野光雅さん ― 田中元首相の初公判イラストを描いていた!
画家で文化功労者の安野光雅さんの訃報が1月17日に伝えられ、思い出したことがある。ロッキード事件丸紅ルートの初公判は1977年1月27日に東京地裁で開かれ、被告席の田中角栄元首相のイラストを担当したのが、安野さんだった。
確か、あのイラストは安野さんのはず、と古いスクラップブックを引っ張り出して確認したら、迫力のある1枚が「法廷の田中被告 イラスト・安野 光雅」と、毎日新聞28日朝刊に掲載されていた。27日夕刊には簡単な法廷全景のスケッチが掲載され、田中被告のイラストは仕上がりにこだわる丁寧な描き方で、夕刊の締め切りには間に合わなかった。
ここで一つの謎が残る。このイラストはその後、誰が保管しているのか。安野さんは昨年12月24日、94歳で亡くなったが、当時50歳。1968年に42歳の時に刊行した『ふしぎなえ』で絵本作家としてデビュー。74年には芸術選奨文部大臣新人賞などを受け、注目され始めた時期だった。学芸部を通じてイラストを依頼したと推定され、紙面に掲載された後、当時の調査部に保存されたとも聞いたことはない。
どこに行ったのか、ご存じの方がいたら情報をお願いしたい。
(高尾 義彦)