2021年4月3日
元学芸部長、奥武則さん、BPO任期満了で「ホッと」
放送倫理・番組向上機構(BPO)という組織について知っている人はそれほど多くないだろう。NHKと民放連、民放各社が作った第三者機関である。放送倫理検証委員会・放送人権委員会・青少年委員会という独立した3つの委員会で構成されている。まだ大学教師をしていたころ、なぜか、このうちの放送人権員会の委員にスカウト(?)された。委員長代行として3年+3年、委員長として3年、計9年間も関わってきた。ようやくこの3月いっぱいで委員長の任期も終わり、委員会からリタイアした。
どういう活動をしているのか、といったことについてはここではふれない(興味のある方は、BPOのホームページをみれば、くわしく分かる)。
「人権」の専門家だったわけではないし、新聞記者としてどちらかというと、人権を侵害する側にいた人間である。その後も、一介の研究者として日本の近現代のジャーナリズムについて勉強してきたに過ぎない。こうした身には、委員会の仕事は正直いささか荷の重いものだった。
私にとって、最後の案件となったのは、フジテレビのリアリティ番組「テラスハウス」をめぐる申立てだった。退任直前の3月30日、決定内容を当事者に通知し、記者会見で公表した(上の写真はテレビニュースの画面から)。
31日の新聞各紙には比較的大きく報道された。毎日新聞は1面トップ。2面に解説風記事があり、社説でも取りあげていた。ちょっとびっくりである。
まあ、反響を含めていろいろ感想はあるが、私的ブログで述べることではないだろう。
ともかく私としては「重い荷」を降ろして、ホッとしているところである。
(奥 武則)=「新・ときたま日記」から転載
※奥武則さんは、法政大学名誉教授。毎日新聞客員編集委員