2021年4月21日
写真が撮れます!近美で開催中の「あやしい絵」展
毎日新聞東京本社のある竹橋パレスサイドビルのお隣さん、東京国立近代美術館で開催中の「あやしい絵」展(毎日新聞社など主催、5月16日まで)。
「あやしい絵」のネーミングが受けたのか、連日かなりのにぎわいだという。4月20日から後期展となって、毎日新聞社が出品している「新聞錦絵」も変わった。
この「新聞錦絵」、「東京日日新聞」創刊者のひとりである浮世絵師の落合芳幾が「東京日日新聞」から題材を拾った。1045号(明治8年6月19日付)の記事にある事件をビジュアル化したものだ。
社会部旧友・今吉賢一郎著『毎日新聞の源流』(毎日新聞社1988年刊)によると、《「錦絵は新聞の付録だった」といわれることがある。が、これはあくまで日報社(注:東京日日新聞の発行元)とは別個の版元がつくる商品だった。新聞のおまけではない》。
さらに《題字に脇の天使の絵は、長野県松本市の開智学校の正面玄関の彫刻にもなった》と紹介している。
いきなり脱線してしまったが、同館のHPにある開催の趣旨——。
明治期、あらゆる分野において西洋から知識、技術などがもたらされるなか、美術も西洋からの刺激を受けて、新たな時代にふさわしいものへと変化していきました。
このような状況のもとで生み出されたさまざまな作品の中には、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった「単なる美しいもの」とは異なる表現がありました。これらは、美術界で賛否両論を巻き起こしつつ、激動する社会を生きる人々の欲望や不安を映し出したものとして、文学などを通して大衆にも広まっていきました。
本展では幕末から昭和初期に制作された絵画、版画、雑誌や書籍の挿図などからこうした表現を紹介します。
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これから私が撮影した「あやしい絵」のいくつかを紹介します。うれしいことに、一部の作品を除いて「撮影可」なのである。
甲斐庄楠音「畜生塚」(大正4年頃)。「描かれているのは、豊臣秀吉の甥・豊臣秀次の妻妾と侍女たち」。謀反の疑いを晴らすため秀次は自害したが、この女性たちは市中引き回しのうえ、見せしめとして殺された。遺骸を埋めた塚は「殺生塚」「畜妾塚」「畜生塚」などと呼ばれた、と説明にあった。
この2枚は、アップで撮った。左は、この展覧会のメーンキャスター。看板、チラシ、チケットに使われている。
松園の「花がたみ」は、20日からの展示替えで遭遇する機会に恵まれた。
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次は、これが何故「あぶない絵」なのかは、分からない。つい先日、日本橋の三井記念美術館「小村雪岱展」で、「シャレた絵だなぁ」と感心したばかり。展覧会のサブタイトルが「江戸の粋から東京モダンへ」だったから、なおさらだ。
かつてのお隣さんへ、是非足を運んでください。
(堤 哲)