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2021年7月26日

世界は1つ東京オリンピック→2021コロナ五輪

 長野県白馬村でペンション〈憩いの宿「夢見る森」〉を経営する江成康明さん(元運動部・スポーツ事業部長→元松本大学非常勤講師)から「若者のためのエナジー通信」第50号(2021年7月21日)が届いた。

 《1964(昭和39)年10月10日の毎日新聞オリンピック特集の1面に元慶応義塾塾長で経済学者だった小泉信三氏の原稿が掲載されている。…「世界は一つ 東京オリンピック―まさにこの標語の通りである」と書き出し、戦禍に焼けただれた東京で開催される喜びと主催国として世界の選手を受け入れるフェアプレー精神を体得してほしいと願っている。

 そして、こう続く。「…五年前に次回オリンピックの主催都市(東京)が決定した時、ごく少数の当事者は別として、部外者の多くはひそかに危惧と当惑を感じていたのが事実であったろう。果たして、手落ちなくやれるかどうか。この懸念は多くの人の心にあったと思う。しかし、今日はどうか。当事者としてはまだまだ無数の不満の箇条があるであろうが、一般の部外者たる国民は準備の進行のさまを見て、実は感嘆しているのである。人々の素朴な感想を一言にしていえば、やはり日本人は相当なものだ、というに尽きる。東京オリンピックということは、ある人々の心に久しく抱かれた夢であった。『祖先は思い、子孫は行う』というが、その夢は、きょう事実になろうとしている」》

 それに比べて今回の東京オリンピックは、と続くのだが、最後にこうある。

 《今回の通信を書くきっかけになったのは、64年東京五輪終了直後に購入した「毎日新聞縮刷版・東京五輪記念号」をそれとなく開いたからだ。中学2年生の時、五輪のあまりの感動にどうしても記録として残しておきたくて母親に買ってもらい、以来本棚にいつもあった。半世紀前の縮刷版はもう黄色く変色し始めている。将来の就職など全く考えていなかったが、

 毎日新聞社に入り、運動部の記者として勤め上げることができたのも何かの縁だろう。

 その縮刷版には、五輪が閉幕した10月24日の翌日となる25日夕刊までが掲載されている。そこに横凸版で「池田首相、辞任を表明」の見出しがある。がんに侵され、五輪開会式は何とか出席した池田勇人首相が「入院治療以来1か月余が過ぎたが、首相としての重責をかんがみ、党総裁と首相の地位を辞任することを決めた」とコメントしている。閉会式翌日の突然の辞任劇だった。

 「首相としての重責」が重く響く》

 毎日新聞社発行の『毎日新聞縮刷版’64東京オリンピック記念号』が、この写真である。開会式の10月10日から閉幕翌日の10月25日夕刊までの毎日新聞を1冊にしたものだ。

 A4判、540ページ。定価900円。

 毎日グラフも『オリンピック東京1964』を臨時増刊した。172ページ(うちカラー56ページ)、定価250円。

 この2冊は1年生記者だった私(堤)が長野支局で購入した。57年前もテレビ観戦だったが、閉会式に一番感動した。

 社会面の見出し——。

 爆笑!型破りの閉会式
  踊って、おどけて
    日の丸も肩車に
     結び合う若い友情

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(堤  哲)