トピックス

2021年10月13日

「新聞革命」の記憶——国会図書館で閲覧できます

画像
秋山哲さん

画像
オンデマンド出版『「新聞革命」の記憶』

 ——『「新聞革命」の記憶』はすでに国会図書館で公開されているようです。おついでの時に眺めてみてください。秋山哲

 元東京本社代表・秋山哲さん(57年入社)からメールが届いた。

 「読んでみたいけど、オンデマンド出版、実費4267円(送料込み)は高い」とメールをしていたのか。

 早速、国会図書館で読んできた。「新聞革命」をうたって題字を現在のインテリジェントブルーに変えたのは、1991(平成3)年11月5日の朝刊だった。

 「毎日新聞」の題字は、1943(昭和18)年1月1日から「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」を一本化したもので、題字を変えたのは48年ぶりだった。

  同時に1ページ15段だった紙面を14段にして、二つ折りにしたとき真ん中に活字がかからないようにした。「腹切り紙面」と整理本部からは悪評ふんぷんだったが、読者からは「読みやすくなった」と好評だった。

 当時、企業の広報担当者用に出版されていた雑誌に私が書いたものが残っている。「素晴らしい紙面に変わりました。とにかく読みやすい。題字もすっきりしている」(当時多摩大経営情報学部長・中村秀一郎氏)。毎日新聞OBの評価は厳しく「題字が安っぽくなった感じで、もうひとつしっくりこない」(経済評論家・田中洋之助氏)。

 毎日経済人賞の最終審査会(委員長は江藤淳氏)が始まる前の雑談で出た話である。

 朝日新聞はメディア欄で取り上げた。

 「新聞革命」とレイアウト学/タブーに逆手 毎日新聞の挑戦

 競争各紙はとりあえず“勇気”に敬服

 「題字変更や腹切りなど、思い切ったことをやったと思う。敬意を表したい。今後これが定着するかどうかは読者次第。注目している」(朝日新聞整理部長)

 「実験だと思う。われわれには勇気がなくてできなかったことをしている。読者がどう受け止めているのか、大いに関心がある」(読売新聞広報室長)

 辛口の意見も紹介しておく。「(紙面改革といっても)いい記事がなければ何の意味もない。そのためには、いい記者がいなければどうにもならない」「そのことを忘れてしまっての刷新は、読者にはなにほどのこともなく、他社から恐れられるものでもない。もっと記者にかかわること、記事の内容を中心とした第二、第三の刷新を期待している」

 これは元大阪読売新聞社会部長の黒田清氏(月刊「宝石」1992年1月号)。

 秋山さんは『「新聞革命」の記憶—MAP30周年を迎えて』(秋山哲編著、2021年3月刊)巻頭に「MAP運動を振り返って」を9ページにわたって綴っている。1988年7月大阪本社編集局長から経営企画室長に異動になって、「新聞革命」に取り組んだ。丸3年かかったことになる。

 高邁な理念は本を読んでいただくことにして、社員の意識改革のために「MAP NEWS」を発行した。その第6号で、「新聞は商品である」と説いた第5代社長・本山彦一を8ページ丸ごと特集している。福沢諭吉が創刊した「時事新報」で総編集のあと会計局長を務めた。新聞社の編集も経理も知悉していた。「藤田組」支配人のまま「大阪毎日新聞」の経営に参画し、社長となって、明治末に「東京日日新聞」を吸収合併して全国紙体制を整えた。

画像

 「MAP NEWS」に当時MAP実施本部長の平野裕さん(90歳)と、秋山さんの前任の経営企画室長・森浩一さん(86歳)が見開きで載っていた。平野さんは東京毎友会の前会長で、このHP創設者である。森さんは東京本社社会部長を戦後最長の4年10か月、スポニチ社長・会長でも活躍した。

 最後に、秋山さん(ことし87歳)は、オンデマンド出版で小説家デビューをしている。ペンネーム檜節郎。本の題名は『耳順居日記』。税込み2,200円、アマゾンで発売中だ。