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2021年12月27日

「アルパインクライマー 単独登攀者・山野井泰史の軌跡」―ビッグコミック2022年1月号から連載始まる

 元印刷部長・山野井孝有さんの長男で単独登攀者として世界的に評価されている山野井泰史さん(56)の人生が、小学館発行の「ビックコミック」新年号から連載で始まった。

 第1回は、中学生の泰史さんが、岩壁から落下して大けがをする場面から始まる。場所は書いていないが千葉県の鋸山。傷だらけで帰宅した姿をみた両親はびっくり。しばらくして傷が治り、また山に登るという泰史さんに、父・孝有さんが「二度と登山はさせん!」。「俺から山を取り上げるのは。死ねってことなんだ」。親子は取っ組み合いのけんかとなる。

 事態を冷静にみていた母・孝子さんは、「無理に取り上げたりすれば、心が死にます」。そうと悟った父は、「ちゃんとした大人の登山クラブで基礎から学べ。それなら許す」。泰史さんは片っ端から山岳クラブに電話するが中学生では相手にされなかった。

 ようやく相手にしてくれた日本登山クラブに、父は「山野井泰史が登山中に事故に遭っても日本登山クラブに一切責任を追及しません」との念書を出して、認めてもらった。そして泰史の岩壁登攀の訓練がスタートした……。

 山野井孝有さんは、2005年に出した「振り返れば波乱―73年の人生とこれから」と題した自分史で、「山への挑戦がすべて―泰史の人生」と詳しく書いている。連載第1回は、この記録に基づいて、正確に劇画化している。山野井さん夫妻を知っている人にとっては、描かれた姿にちょっと違和感を持つだろうが、それは仕方がない。毎月10日と25日発行のビックコミックの連載は、相当長期間になりそうだという。泰史さんの人生と、単独登攀の苦闘、そして両親の苦悩がどのように描かれていくか、楽しみにしたい。

(福島 清)

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