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2022年10月21日

モロさん創設の「野球文化學會」が毎日新聞の見出しに

 21日付毎日新聞11面オピニオンのページで「村神様」の活躍を扱っている。

 《プロ野球・ヤクルトの村上宗隆内野手(22)が今季リーグ戦で史上最年少での3冠王、歴代2位のシーズン56本塁打など数々の記録を打ち立てた。なぜこれほど打てるのか、その活躍の意義や、プロ野球界にもたらすものは何なのか。日本中を沸かせた村上選手について、プロ野球関係者、識者、ファンに聞いた》

 3人のうち、識者が鈴村裕輔名城大学准教授。「野球文化学会」会長の肩書で紹介されている。「野球文化学会」の創設者、1959年入社諸岡達一(86歳)と54年入社鳥井守幸(90歳)両氏が喜んでいるだろうな、と最初に思った。

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 正式には「野球文化學會」と表記するが、創設の経緯は『Baseball Tencyclopedia野球博覧』(2014年大東京竹橋野球団S・ライターズ編著)に詳しい。

 ハラサブ原田三朗(2017年没82歳)が書いている。《鳥井と諸岡が「野球学会」を作りたいと持ちかけてきた。例によって名前は鳥井がつけた。「大日本野球學會」というのである。設立の会議は、験を担いで後楽園のカフェで開くのが恒例となった。私は本物の学会同様、まず会合とパーティー、それに会員名簿をそろえようといった。諸岡はまず機関誌を出そうと主張した。諸岡が正解だった。年1回の機関誌と、執筆者と会員によるパーティーで野球文化学会は大きくなった》

 機関誌・野球文化學會論叢「ベースボーロジーBaseballogy」は1999年9月に第1号を刊行した。巻頭はモロさんの「ベースボーロージー宣言」である。

 野球を「歓喜の学問」にする。
 野球は人類にとっての重要な資産である。豊饒なる野球文化の土壌をさらに耕したいと思う気持ちそのものが「野球文化學會」である。
 野球を通して人の本質を知り、哲学を学び、思想を育み、喜びを創生する。
 野球は人の生き方であり、人のモノの見方であり、人の技術の粋であり、人の歴史と記憶であり、人の政治と経済であり、人の権利と義務であり、文化人類学であり、科学である。
 学に不足なし。論ずるに不足なし。
 語るに不足なし。研究するに不足なし。
 分析するに不足なし。愛するに不足のあろうはずがない。
 野球に包含されているすべての部品は複雑系の極地を行く。奥の深さは底なしの沼。
 その多岐多彩さは、現存するあらゆる「学会」をも凌駕する、と大見得を切っても、野球が舞台から落ちることはない。
 野球を学問にすることは「野球の尊敬」に対する人類の礼儀である。

 ことし7月には第15号が発行された。毎日新聞OBでは松崎仁紀さんの「アメリカ文学にみる野球の文化社会学的考察」、私(堤)の「新渡戸稲造がピッチャーだった札幌農学校のベースボール」が掲載されている。

(堤  哲)