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2024年4月22日

「松田博史水彩紀行展」を藤沢市の湘南高校で見てきた

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 4月20日、藤沢市の湘南高校で「松田博史水彩紀行展」を見てきた。松田君は大学の同級生で入社同期の古い友人である。新聞社で一緒の職場になったことはないが、大学時代の共通の友人をまじえて、ときどき会って、楽しい時間を過ごしている。湘南高校は彼の母校である。個展は同校の「歴史館」のギャラリーで開催中だ(7月19日まで3月5日「元気で~す」参照)。

 良きかな、晩年の日々――20点余りの絵にそれぞれ短いエッセイを添えた展覧を見て、こんな言葉が思い浮かんだ(お互い後期高齢者だから、「晩年」と言っても松田君は許してくれるだろう)。

新聞社を退職し、大学教師もリタイアして久しい身として、ともすれば日々の「生活の張り」とでも言うべきものが失われがちであることを痛感している。一日がだらだらと過ぎ、次に同じような日がやってくる。絵を描くことは、当たり前のことだが、創作である。個展に並んだ一つ一つの絵は、どこにもない彼の作品なのだ。同じく「晩年」の日々を過ごす身として、創作への意欲を持ち続けている松田君に学ばなければと思う。むろん絵心がまったくない当方、絵を描き始めることはないだろうが。

「水彩紀行展」と題されているように、作品の多くは作者が取材やプライベートで訪れた世界各地の風景を描いたものである。添えられたエッセイによって、見る者は一つ一つの作品が作者にとって思い出深い、懐かしい光景であることを知る。

個展への短い案内を記した松田君は、文章を、こんなふうに結んでいる。

今回、初めて自分の絵を外部に披露することになったが、まだ道半ばの作品ばかり。いつの日か自分が納得できる「一枚の絵」にたどり着きたいと願っている。いったいどんな絵なのだろうか。「一枚の絵」を追い求める私の水彩紀行の旅はまだまだ続く。

(元学芸部 奥 武則)