2024年7月19日
毎日新聞「余録」から、週刊文春「余命1カ月を生きる」連載へ
今週発売の「週刊文春」7月25日号を読んでいたら、ドキュメント連載スタート「大野寿子さん(73)余命1カ月を生きる」毎日新聞論説委員小倉孝保、とあるではないか。
88入社、外信部長→編集編成局次長から論説委員の小倉さんにメールで尋ねると、《僕が6月17日付「余録」で、大野さんの「最期のプロジェクト」を紹介したところ、文春から連載をしませんかと連絡があり、会社に外部寄稿の申請をして、認めてもらいました。
大野さんが亡くなるまで続く予定です》と返信があった。
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「余録」を再録したい。
命の残り時間に気付かされた時、人は何が一番大切なのかを知る。千葉県浦安市に住む大野寿子(おおの・ひさこ)さん(73)にとってそれは、少女や少年が困難を乗り越え、夢に向かって奮闘する姿を伝え、残すことだった▲難病を患った子どもの夢をかなえる慈善団体「メイク・ア・ウィッシュ」が日本支部を設立したのは1992年である。大野さんは6年後に事務局長となり、18年間務めた▲筋肉の病気に侵されながら、野球選手に会うため京都から甲子園球場まで1駅ずつ歩いた少年。白血病で体力が衰える中、絵本を作り続けた少女。大野さんが夢の実現を手伝った子どもは約3000人になる▲その本人に今年2月、肝内胆管がんが見つかった。腫瘍は約7センチに膨らみ、リンパ節に浸潤していた。手術や放射線治療は不可能である。終末期医療を視野に入れ、自分の夢と向き合った▲子どもたちを紹介した自著「メイク・ア・ウィッシュ 夢の実現が人生を変えた」はすでに絶版になっていた。できるだけ多くの人に、これを読んでもらいたい。無料(協力してもらえる人には有料)配布を決め、自費で500部を刷り直した▲大野さんは言う。「病気の子は自分のことでいっぱいいっぱいのはずです。でもみんな誰かの役に立ちたいと思い、心から他者の幸せを願っていました」。そうした姿を伝える本の配布は「最期の大野プロジェクト」と名付けられた。スタートはきょう17日。子どもたちと大野さんの夢を乗せた本が、希望者に届けられる。
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大野寿子さんが、がんで余命1カ月と宣告されたのは、今年6月26日のことだった。
小倉さんは、大阪社会部時代に伝説のストリッパー一条さゆりの晩年を取材して『初代一条さゆり伝説』(1999年刊)を出版したのをはじめ、「国際事件記者」大森実にインタビューして『大森実伝-アメリカと闘った男』(毎日新聞社2011年刊)をものにした。
『柔の恩人-「女子柔道の母」ラスティ・カノコギが夢見た世界』(2012年刊)は小学館ノンフィクション大賞、ミズノスポーツライター最優秀賞を受賞。
最新刊『35年目のラブレター』(講談社2024年刊)は、笑福亭鶴瓶主演で映画化され、来年3月7日(金)から全国で公開される。
2014年に日本人として初めて英国外国特派員協会賞(特派員部門)も受賞している。
(堤 哲)