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2024年9月10日

毎日新聞OBの写真家、江成常夫さんの作品、米歴史博物館が収蔵へ

 元毎日新聞写真部員で写真家、萩原義弘さん(63歳)がFacebookに先輩、江成常夫さん(87歳)の快挙を書き込んだ。

 《東京新聞一面トップでした。
 「負の昭和」を撮り続ける写真家・江成常夫さんの作品がアメリカ・テキサス大学付属の歴史博物館に収蔵されることになりました。日本の写真家では初めてのことです》

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東京新聞9月4日朝刊1面

 記事によると、収められるのはアメリカ・テキサス大付属の歴史博物館「ドルフ・ブリスコー米国史センター」(テキサス州オースティン)。同センターはフォトジャーナリズムの分野で、世界有数の公的アーカイブズ。主に米国の有力写真家の作品を集めており、日本人写真家の一連の業績が評価され、作品群が収蔵されるのは初めて、とある。

 江成さんは、62年毎日新聞入社。74年に退社してフリーとなり、NYへ。米将兵と結婚して海を渡った「戦争花嫁」と出会い、カリフォルニアに住む彼女たちを1年にわたって取材した。『花嫁のアメリカ』で木村伊兵衛賞、中国残留孤児を追った『シャオハイの満洲』で土門拳賞、写真集『まぼろし国・満洲』で毎日芸術賞を受賞した。さらに「戦争の昭和」を追って、太平洋の島々にその痕跡を追い、広島・長崎の被爆を記録した。

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 東京新聞の見出しにある「負の昭和」を、戦勝国アメリカの大学の研究施設が「写真遺産」として収めようというのである。

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 ブリスコーセンターは、被爆75年にあたる2020年8月6日、日本人が撮影した広島・長崎の原爆投下後の写真集『Flash of Light, Wall of Fire』(閃光、炎の壁)を出版した。広島64点、長崎54点、計118点を収録。定価50㌦と高価だが、初版は売り切れ、増刷したという。

 見出しにある「負の昭和」を、戦勝国アメリカの大学の研究施設が「写真遺産」として収めようというのである。

 同大米国史センターは、被爆75年の2020年8月6日、日本人が撮影した広島・長崎の原爆投下後の写真集『Flash of Light, Wall of Fire』(閃光、炎の壁)を出版した。広島64点、長崎54点、計118点を収録。定価50㌦の高価だが、初版は売り切れ、増刷したという。

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ブリスコー米国史センター

 これに併せて、2019年6月発行の写真集『被爆 ヒロシマ・ナガサキいのちの証』(小学館)に収められた作品全145点が同センターに収蔵された。江成さんが10年にわたって広島平和記念資料館や長崎原爆資料館などに足を運び、被爆者の遺品や遺構を撮影しものである。

 同センターは、2021年8月~2022年1月まで写真展「Flash of Light, Wall of Fire」を開いた。江成さんの作品も展観され、Anti-Nuclear Photographer's Movement (ANPM)Tsuneo Enari photograph collectionと説明がつけられた。

 従って、今回は収蔵第2弾である。

 江成さんに事情を聞いた。「私の写真集に感動したある日本人がドン・カールトン館長に紹介してくれたのです。私の全作品が収蔵されることになっていて、10月までに200点、来年3月までに200点。さらにその先もあるので、収蔵作品は600~700点になると思います。毎日新聞には申し訳ありませんが、自分の価値観で、写真家としての作家性を貫いてよかったと思っています」。

 江成さんは、ことし10月8日で88歳、米寿を迎える。

(堤  哲)