2024年11月28日
棚貸し書店に置かれた佐々木宏人著『封印された殉教
『封印された殉教』上下巻(2018年フリープレス社刊、定価各2,000円+税)は、毎日新聞元経済部長佐々木宏人さん(65年入社)の力作です。
たまたま小生(高谷尚志)、棚貸し書店のブームに乗って、神保町さくら通り、今村翔吾さんがスタートさせた「ほんまる」に棚一つを借りました(棚番号2505)。何か重みのある著作を陳列して、棚にブランド力をつけようというねらいで、佐々木さんにお願いして『封印された殉教』上下巻を展示させていただくことになりました。
神保町すずらん通りには鹿島茂さんの棚貸し書店「パサージュ」があり、ここに佐々木さんの盟友の安田弓さんの棚があり、そこにも『封印された殉教』上下巻が並んでいるそうで、「これですずらん通りからさくら通りに、ワタシの本が並ぶのね」と、佐々木さんからメールで返信がありました。
「ほんまる」は、神保町に詳しい方ならば、洋食屋「げんぱち」の2軒隣り。そう説明いたしますと、佐々木さんは車椅子で「ほんまる」に駆けつけ、ご自身の著作があることを確認の上、少し先の日程でどこかの教会で、戦後の混乱期に起きた神父射殺事件の講演をする時にこれを使うのだと購入されました。
上下巻が棚から無くなったわけで、早速上下巻を新たに納入し展示いたしました。
しばらくして「ほんまる」から『封印された殉教』上巻が購入されましたとのメール。そうしますと下巻だけの展示になるわけで、小生、上巻を手に入れて、「ほんまる」のカウンターに届けました。
するとカウンターの女性、「アツ、これ覚えてる。お客さんが上下巻一緒に買うか迷っていて、『面白いですよ』とおすすめしたのですがとりあえず上巻だけで」。
その旨 、佐々木さんにメールでお伝えしますと、「購入されたのはいいけど、下巻の方からずっと面白くなるんだけどな」との返信でした。
残念なことに佐々木さんは2024年11月23日夜、亡くなられたとのお知らせがFacebookでご長男から。享年83。
『封印された殉教』上下巻が並ぶ「ほんまる」2505は、佐々木さん追悼のような棚になってるわけで、 まあ何かのご用事で神保町にお出かけの節は、お立ち寄りいただき故人を偲ぶのもいかがでしょうか。
(70年入社・高谷尚志)