2025年6月12日
「祝毎日」と揮毫したジュアン・ミロ画伯
遅ればせながら東京都美術館のミロ展に行ってきた(7月6日まで)。
「世界中から集った選りすぐりの傑作の数々により、ミロの芸術の真髄を体感できる空前の大回顧展」とうたうが、ミロ展の先駆けは毎日新聞社で、1966年8月から10月にかけて東京近代美術館で開催した。そのあと京都国立近代美術館へ巡回した。
その際、ジュアン・ミロ画伯(1893~1983)は、初めて来日。新築したばかりの竹橋パレスサイドビルに毎日新聞東京本社を訪れ、「祝 毎日」と揮毫している。

1966年10月5日付毎日新聞朝刊

それを表装したもの。社宝か
記事にこうある。《五階社長室から皇居の秋のたたずまいに目を細めたあと、大きな紙に漢字で“祝毎日”と、新社屋の落成を祝う揮毫をし、「ミロ」と片カナで署名した》
《この日のために習ったもので「読めますか」と心配する画伯に「立派です」と上田社長が握手をもとめた》
毎日新聞東京本社は、この年の9月23日、有楽町駅前からパレスサイドビルに移転した。ミロが本社を訪れたのは、新社屋に移って11日後だった。
ミロは、毎日書道展の重鎮・金子鷗亭、飯島春敬、手島右卿らの揮毫を見て、作品を持ち帰った。日本の書を作品に取り入れているのである。
(堤 哲)