2025年6月13日
17日(火)から両国で松村明写真展「閃光の長崎」
69入社、写真家松村明さんの写真展「閃光の長崎」が17日(火)からピクトリコショップ&ギャラリー(墨田区横網1-2-16両国ガイビル5F・國技館前)で開かれる(21日まで)。

日本写真協会が写真文化の普及と発展を図ろうと、1996年から「東京写真月間」を開催している。松村さんは、長崎で被爆された方たちを撮影し続けており、被爆・戦後80年の節目に、「東京写真月間」の写真展となった。
松村さんは「東京写真月間2025図録」にこう書いている。
《被爆者の体験は視覚からだけではなく、一生忘れられない体で覚えた記憶になっている。また、親や子を無くしても、涙も出ない。憶えていないなど、自己防御規制と思われ、心が感情を封印してしまう。それらを始め異常体験をくぐり抜けてきた被爆者の身体、特にお顔に刻みこまれていることが見えてきた。
撮影にあたり私なりに勝手な決めごとをし、爆心から5キロ圏内、被爆の瞬間を体験している方に限らせていただいた。この条件下の方々は、特段の異常な体験であったであろうことからだ。
被爆者の平均年齢が85歳を超えた。いざ撮影という段になって、体調がすぐれず対応できない方や、次の約束で連絡をすると「亡くなりました。」という事もあり撮影の状況は年々難しくなってきている。
今回の展示作品は、フィルムはモノクロ、プリントはバラ板紙を使用。モノクロームトーンにおける抽象化、デジタルとは一味違うトーンの深みと粒子による円やかさで伝わり方が違う。その質にこだわる事で被爆者の顔に刻まれディテールをじっくり見てもらいたいものだ。また、モノクローム写真だけではなく、カラーの長崎の情景も加えた。(カラーはインクジェットプリント)
現在、80有余名の被爆者のお顔を撮影した。100名の目標に近づくべく撮影は続く》
(堤 哲)

松村 明 1946年京都生まれ。1969年日本大学芸術学部写真学科卒業。写真家・長野重一氏に師事、毎日新聞社写真部入社。カメラ毎日本誌及び別冊ニューヌードなど担当。
1983年 文化庁在外派遣研修員、ニューヨーク州のイーストマンハウス国際写真美術館で研修
1987年 「EMPATHY」日本現代写真10人展(森山大道ほか)全米巡回展キューレイション
2005年〜2013年 九州造形短期大学写真学科教授
2014年〜 福岡市・大名にて写真塾・フォトマッサージ主宰
〈写真集〉「路地を抜けると—神田—」(蒼穹舎2003年)
「ありふれた長崎 あの日から65年」 (窓社2010年)
「Evidence NAGASAKI」(冬青社2015年)
「閃光の記憶—被曝75年」(長崎文献社2021年)
「立ち上がる光」(アルファブックス/ アルファ企画2023年)