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2025年8月25日

越智正典著『実況 長嶋茂雄』25年ぶりの復刊です

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定価:1800円+税

 元NTVアナ越智正典著『実況 長嶋茂雄』が再刊された。初版は2000年11月だから25年ぶり。ミスターが亡くなったのが6月3日、再刊は7月5日付だ。

 毎日新聞出版の永上敬書籍本部長が、越智アナの吉祥寺の自宅(元常務故佐治俊彦宅の斜め前なのだ)へ伺ったところ、雨戸は閉まり応答なし。4月16日に亡くなっていた。96歳。

 越智さんの息子さん、さらには読売巨人軍、株式会社オフィスエヌ代表取締役・次女長島三奈さんに連絡して許諾を得て、猛スピードで再版に漕ぎつけたという。

 越智さんは、1959年に長嶋さんがサヨナラ本塁打を放った天覧試合を実況放送したことで知られるが、NHKのアナウンサーから53(昭和28)年に開局した日本テレビに入社。NTVは、翌54年春から東京六大学野球リーグ戦の中継を始める。長嶋が佐倉一高から立教大学に入学した年である。

 長嶋が立教大学に入学する経緯から、砂押邦信監督のスパルタ練習で鍛えられ、58年に読売巨人軍に入団、スパースターになるまでのすべてを、間近で取材している。

 だから『実況 長嶋茂雄』なのである。

 《ミスターはなぜミスターなのか。ONから監督まで「天才」と交友し続けた元名物アナウンサーがつづる秘録》。とにかく面白いエピソード満載である。

 越智さんは、つい最近まで、東スポで週1回コラムを連載していた。

 ベーブ・ルースがボストン・レッドソックス時代の1916(大正5)年、二刀流でワールドシリーズに臨み、大活躍したことを紹介したときは、大東京竹橋野球団編『野球博覧』2014年刊と出典を明らかにしている。59入社諸岡達一さんが書いたものの引用だった。

 《左腕ベーブ・ルースは対ロビンズ1敗のあとの第2戦に登板。ひとりで延長14回を投げ、2対1で勝ち。これが勝敗分岐点となって4勝1敗で世界制覇を果たした(野球博覧)》

 ついでに国鉄スワローズの愛称については、私(堤)の著書『国鉄スワローズ1950-1964』(交通新聞新書)から引用したことを断っていた。

 真面目で、誠実な人であった。

(堤  哲)