2018年8月26日
佐々木宏人著『封印された殉教』上
敗戦3日後の1945年8月18日夕、横浜市保土ケ谷区の保土ケ谷教会内でカトリック横浜教区長だった戸田帯刀(たてわき)神父が頭部を撃たれて死亡した。
この事件を追った毎日新聞OB記者佐々木宏人さん(77歳)のノンフィクション。
筆者の言葉にこうある。
一人のカトリック・ジャーナリストとして「戸田帯刀神父射殺事件」を追いかけた。なんとか犯人を割り出し、その背景に迫りたいとの一念だった。多くの取材協力者の助けにより、事件の背後のうごめきが仄かに見えてきた。高まる軍靴の響きをものともせず、普遍の価値の下に「平和であれ」と説き、実践した一人の司祭と、それをとがめて銃弾を放った犯人…戸田師の遺志は、それを覆い隠そうとした勢力の意図にもかかわらず、営々として語り継がれ、生かされていたことが判った。取材者としてそのことが本当にうれしかった。独り勢い込んで重ねた取材・執筆にもそれなりの意味があったのではないかと、ペンを措いた今、実感している。
サーさんとは、水戸支局で一緒だったが、カトリックの信者だったとは、知らなかった。
そのサーさんからの報告――。
「下巻」は9月中旬に発行予定です。よろしく。
(フリープレス刊、2000円+税)
(堤 哲)