新刊紹介

2019年5月24日

小倉孝保著『100年かけてやる仕事 ― 中世ラテン語の辞書を編む』

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 1冊の辞書を完成させるのに100年という歳月をかけた人々がいる。『英国古文献における中世ラテン語辞書』の作成プロジェクトは、1913年にスタートし、2度の大戦を経て2013年に辞書が完成した。スペインのバルセロナに建設中のサグラダ・ファミリア大聖堂は、1882年に着工され、完成予定は2026年。この大聖堂ほど有名ではないが、イギリスの中世ラテン語辞書は、それに匹敵する大文化プロジェクトだった。

 僕(小倉孝保東京本社編集局次長)はロンドン駐在時にこの辞書の完成を知った。「中世ラテン語辞書プロジェクト、100年かけてついに完了」と新聞各紙、BBCなどがこぞって報じた。大ニュースというわけではなかったが、この見出しを目にしたときの衝撃は大きかった。おおげさでなくドキンとしたといってもいい。100年もかけて辞書をつくり上げた人たちはいったいどんな人たちだったのか。そもそも、なぜ現代のイギリス人に新しいラテン語の辞書が必要なのか。

 ――以上は、小倉編集局次長の紹介文である。

 小倉記者は、1964年滋賀県長浜市生まれ。88年毎日新聞社入社。カイロ、ニューヨーク両支局長、欧州総局(ロンドン)長、外信部長を経て編集編成局次長。2014年日本人として初めて英外国特派員協会賞受賞。『柔の恩人』で第18回小学館ノンフィクション大賞、第23回ミズノスポーツライター賞最優秀賞をダブル受賞。

 プレジデント社 1,800円+税

(堤  哲)