2020年2月9日
元くり読・立林良一訳『プリンストン大学で文学/政治を語る バルガス=リョサ特別講義』
終活で資料を整理していたら、「くりくり」時代の読者からの手紙が出てきた。創刊2年目の夏休みにアメリカ西海岸へ1週間ほどのホームステイを中3から大学1年までの20人ほどの読者とともに体験した。
その同行記を「くりくり」に掲載したら、「私もWatsonvilleに留学していました」という手紙が届いたのだ。
差出人を検索すると、ノーベル文学賞を受賞したマリオ・バルガス=リョサ氏の翻訳本を昨年11月に出版していた。
立林良一さん。訳者の紹介に、1959年生まれ。同志社大学准教授。ラテンアメリカ文学・文化研究。共著に『ヨーロッパ・アメリカ文学案内』など、とある。
くり読(Teen's Spaceをうたった週刊紙「くりくり」の読者)も還暦を迎えていた。
ワトソンビルは、米サンフランシスコの南100キロほど、西海岸沿いの田舎町である。
立林さんは、同志社大学グローバル地域文化学部のHPに《今からかれこれ35年ほど昔、高校生のときに交換留学生として1年を過ごした米国、カリフォルニア州の小さな町は、人口の半分がメキシコ系で、通った学校では英語以上にスペイン語が飛び交っていました。自分が漠然と抱いていたアメリカという国のイメージとは全然違う雰囲気に最初は戸惑いもありましたし、ラテン系の人たちのメンタリティにもなかなか馴染めませんでしたが、そうした違和感の正体を見極めたいという思いから、大学ではスペイン語を専攻することに決めました。いずれスペイン語を武器に、海外で活躍できるような仕事に就きたいと考えていました》と書き込んでいる。
さて、肝心の本の内容――。
河出書房新社のHPには、《キューバ革命、ペルー大統領選、ドミニカの独裁政治、シャルリ・エブドのテロなど、ノーベル賞作家が自らの足跡も交えて政治・暴力と文学の密接な関係を語り尽くす、刺激に満ちた講義録》とある。
マリオ・バルガス=リョサ氏は、2010年のノーベル文学賞受賞者。ペルー生まれの83歳。フジモリ大統領が当選した大統領選に出馬して敗れている。
定価3,300円(税込み)河出書房新社刊
(堤 哲)