2023年10月19日
元経済部長、佐々木宏人さんが共著『石油危機回顧録』で50年前の思い出を
50年 ❣️ 前か
50年前の10月16日、第四次中東戦争がぼっ発して10日後、ペルシャ湾岸諸国6ヶ国が原油価格の値上げ、そして米国を中心とするイスラエル支持国への毎月5%の原油供給のカット。日本はアメリカの石油大手からの原油供給に頼り切り、水と石油は蛇口をひねれば出てくると思い込んでいた。
サー大変、日本に石油が来なくなる。トイレットペーパー、洗剤なども作れなくなる、パニックが広がり、スーパーには血走った目の主婦が並び、日本国中大騒ぎになった。諸物価の値上がりも尋常でなく、これに合わせて新聞代も上がり、給料もアップした記憶がある。
その時、通産省(現・経産省)のエネルギー担当の官僚、通産省記者クラブの記者たちは(当方もその一人)、昼夜も分かたず、官僚は政策立案、新聞記者はそれを抜こうという大合戦を繰り広げた。当方も東京本社編集局経済部の通産省担当記者として、昼夜逆転の取材に駆けずり回った。
なんとその50年後、パレスチナ・イスラム組織ハマスが、ガザ地区からイスラエル側に突然攻撃を行って、イスラエルとの紛争がぼっ発した。その10日後にあたる10月16日、取材先だった通産省の元官僚、元新聞記者11人が「石油危機50年周年記念」で霞が関のレストランに集まった。この時のメンバーが「十六夜会」という名称で、会合を作ってきた。みんなもう80歳前後、お役人は局長、長官などを歴任、中には国会議員などを経験した人もいる。新聞記者もそれなりのポジションを経てきた。両者ともにここ数年で姿を消された方も多い。
この話が出たのは、ガザ・イスラエル紛争が起きるなんて想像もしていない猛暑の頃。幹事の当方より7才も下の局長経験者の、大手電機メーカーの副社長になられたAさんが、メンバーに呼びかけて原稿を集めて「石油危機50年―石油危機回顧録」をまとめて下さった。
偶然とはいえ、丁度50年後の10月に、中東イスラエル・パレスチナのガザ地区のハマスとの間で、ミサイルを飛ばし合う紛争が突発したわけだが、ウクライナ・ロシアの戦争が終息しない中、このガザ・イスラエル紛争が長期化しないことを願うばかり。中東研究者の間では、湾岸諸国を巻き込んだ石油危機が起きないとは言えないと分析する人もいる。
50年前の「石油危機」をもたらした、日本のエネルギー情勢、現在と共通しているのは、自給率2割にもいかない日本のエネルギー事情だ。確かに「石油・天然ガス」は当時と違って今は地球温暖化の悪役として、目の仇にされている。しかし現在でも石油・天然ガスが、日本のエネルギー供給源の60%近くを依存している。その大半の輸入先が中東からだ。本質は50年前と変わりはない(以下のアドレス参照)。
(https://www.jackery.jp/.../article/energy-problems-in-japan )
こういう現状を踏まえて、中東情勢を見て行かなくていけないのに、あまりに日本全体の議論が再生エネルギー万能に傾き過ぎではないか――、石油危機の教訓を生かすべきではないか――。
経産省がエネルギー庁の組織委から「石油」という名称を無くしたのはけしからんーー!
ガザ・イスラエル紛争の行方を見ながら、16日の「十六夜会」は“エネルギー爺”たちのメートルは上がる一方だった。
この小冊子の原稿内容も当時の官僚、ジャーナリストの12人の、日本のエネルギーの現状への危機感があふれている。
来年もやろうということになったが、その時、中東情勢はどうなっているんだろう。
この「石油危機回顧録」読みたい方、残り部数は少なりましたが、佐々木宛てに以下のアドレス(hirochan0925@gmail.com)にメ―ルを頂ければ無料でお送りします。
(40年入社・水戸支局、東京経済部を経て広告局長、中部本社代表 佐々木宏人)