新刊紹介

2024年7月8日

元大阪本社経済部長、藤好陽太郎さんが新刊「活躍できる社会人になれる教科書」

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 追手門学院大学経済学部の教員に転じて以降、ヨーロッパ経済や関西経済などを教える傍ら、同僚の先生方と1年生に読む力や書く力を身に付けさせる授業を担当しています。残念ながら、本を読む習慣がなかったり、時事問題に関心が薄かったりする学生が増えています。

 そこで、経済学部1年生400余人全員に2000字のレポートを課すことにしました。「事実をつないで意見や主張を書く」「グラフや表を作る」「文末には信頼に足る参考文献を記す」といったチェックポイントを設定しても、適切なテーマ選びや説得力のある展開、日本語力などは一朝一夕では身につきません。

 それでも、新聞でニュースを調べたり、レポート執筆に挑戦したりすることで学生は少しずつ変わります。「新聞って面白い」「ウェブはフェイクニュースに溢れている」といった感想が出てくればしめたものです。さらにグループで学生相互にチェックさせると、「〇〇さんのレポートは完成度が高かった」「自分もうまく書けるようになりたい」と自分事としてとらえるようになっていきます。

 こうした中、やはり元記者の先輩の先生から教科書執筆のお話を頂き、「活躍できる社会人になれる教科書」(大学教育出版)上梓の運びとなりました。

 このような貴重な機会を頂けたのも、毎日新聞の30年間があったからです。拙著の出来栄えはさておき、毎日同人の横田詞輝さんのイラスト、齊藤信宏毎日新聞執行役員(編集担当・デジタル担当)の「フェイクニュースの見分け方」、畠中雄平教授の「どうすれば集中できるのか」などは非常に面白く、小説家の佐藤優さん(作家・元外務省主任分析官)も「大学生必読の書」と強力に推薦してくださいました。「活躍している社会人」の方々の褌で相撲を取っている感もありますが、もし周囲に若い方がいれば薦めて頂ければ幸いです。

 ご存知のように日本企業にかつての力はなく、ゆっくり人を育てる余裕もありません。売り手市場とはいえ、学生には即戦力が求められているうえ、就活の時期も前倒しになり、本当に気の毒です。それでも学生は、懸命に壁を乗り越えようとあがいています。残された時間、引き続き微力を尽くしたいと思っています。

(藤好 陽太郎)

 書籍内容

 リーディングやライティングから情報収集の方法やニュースの真贋の見分け方、グループディスカッションまで大学の13~15コマの授業に合わせて経済社会を生き抜く必須の技術を提示した、大学初年次教育や社会人向けの実践書かつ解説書。

 帯封 「勉強の仕方を分かりやすく指南した教科書。本書の技法を習得することで、一段高い学知が身につく。大学生の必読書で、実践的ノウハウが身につき新社会人にも有益」(佐藤優・作家・元外務省主任分析官)


 目次内容


 はじめに

 序 章 大学について

 第 1 章 アイスブレイク

 第 2 章 ノート・テイキングの基本

 インタビュー 1 「どうすれば集中できるのか」 琉球大学人文社会学部教授・精神科医・空手師範 畠中雄平

 第 3 章 リーディングの基本

 第 4 章 リーディングの応用

 第 5 章 情報収集の方法 ── 新聞の読み方など

 第 6 章 事実とは何か ── ニュースの判断

 インタビュー 2 「フェイクニュースの見分け方」 毎日新聞執行役員(編集担当・デジタル担当)齊藤信宏

 第 7 章 ライティングの道 1 文章のルール

 第 8 章 ライティングの道 2 言葉選びと構成

 第 9 章 実践ライティング 1 読書感想文(書評)

 第 10 章 実践ライティング 2 レポート

 第 11 章 ライティング補足 インタビュー・自分史

 第 12 章 プレゼンテーションの基本

 第 13 章 グループディスカッションの手順と方法

 第 14 章 出口戦略を考える

 インタビュー 3 「20代の過ごし方」 経営共創基盤グループ会長 冨山和彦

 おわりに

 藤好陽太郎(ふじよし ようたろう)さんは追手門学院大学経済学部経済学科教授。

 1989年に毎日新聞に入社し、甲府支局、東京本社経済部、ロンドン支局などを経て、大阪本社経済部長、論説委員を歴任。2018年選択定年退職。同年から同大教授。

 イラストレーター、横田詞輝 (よこた しぎ)さんは、イラストレーター、毎日新聞客員編集委員。1989年に毎日新聞に入社。主な作品に1998年から2023年まで25年間にわたり毎日新聞の土曜朝刊に連載した、その時々の出来事や世相を描いた「経世済民術」などがある。

 「活躍できる社会人になれる教科書」は大学教育出版刊、1,980円(税込み)