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2024年9月30日

「レッド・パージ」を問うDVD完成 元労組委員長、大住広人さんが証言

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 「レッド・パージ反対全国連絡センター」は、1949年から51年にかけて、共産党員とその支持者と決めつけられた3~4万人が解雇された「レッド・パージ」と呼ばれる思想弾圧事件の真相を問い直し、政府に対して被害者への謝罪と賠償を求めて運動を続けている。同センターはこのほど『レッド・パージ 今に続く負の遺産』と題したDVD制作し、普及運動を展開している。この記録に、新聞産業でのレッド・パージについて、大住広人さんが証言している。

 1949年には、まだレッド・パージという言葉はなく、定員法に基づく人員整理に紛れこませ、公務員・民間合わせて約60万人を解雇した。1950年5月、マッカーサー書簡で指令を受けた吉田内閣は、共産党中央委員、続いてアカハタ幹部追放を閣議決定した。6月25日、朝鮮戦争が勃発した。こうした中で、7月28日、共産主義者排除を公言した新聞・放送に対するレッド・パージが始まり、以後、電産はじめ全産業へと拡大していった。新聞は良心の自由擁護をも放棄して、「共産主義者が排除された」という政府の言いなり報道を垂れ流した。

 新聞・通信・放送では338人(うち毎日は49人)が解雇された。被解雇者たちは「言論弾圧反対同盟」を結成し、反対闘争に立ち上った。また「不当労働行為」として中労委に提訴、地裁に対して「解雇無効」を訴えて闘った。しかし「マッカーサー書簡は日本の憲法に優先する占領軍による支配の下では国内法は無視される」との理由からすべて敗訴した。

 一方、神戸電報局をレッド・パージで解雇された大橋豊さんは、2009年に2人の仲間と名誉回復と賠償を求める裁判を起こしたが、2012年の大阪高裁で敗訴した。しかし弁護団は、その判決に「レッド・パージが日本政府の主導によってなされたなどの事情がある場合に限り、控訴人らの主張には理由があることになる」との一文に注目して国の責任を追及していくとしている。

 「レッド・パージ」弾圧を許さない闘いがまだ続いているのである。このDVDの制作者は、大住広人さんが中心になって徹底調査して刊行した『検証 レッド・パージ70年 新聞の罪と居直りー毎日新聞を手はじめに』(2020年12月31日、北大生・宮澤弘幸『スパイ冤罪事件』の真相を広める会・刊)に注目して、当時京都に住んでいた大住さんに長時間インタビューした。大住さんは、新聞がレッド・パージを許した責任を問い直している。再び戦争への体制づくりに立ち向かう運動を構築するためにも、ぜひこのDVDを観てほしい。

 問い合わせ先=「レッド・パージ反対全国連絡センター」
T/F:03-3576-3755  E-mail:
DVD頒価1500円

(福島 清)