2025年7月14日
阿部菜穂子著『アウシュヴィッツの聖人を追いかけて』


『アウシュヴィッツの聖人を追いかけて—ある被爆者と桜守の物語』(岩波書店)が17日発売となる。定価3,740円。
岩波書店HPにある新刊案内。「アウシュヴィッツに斃れたコルベ神父、長崎原爆を生き延び信仰の道に進んだ田川幸一(のちの小崎登明)、海外へ贖罪と友好の桜の寄贈を続けた浅利政俊の三人を主人公に、戦争の時代に平和を求め続けた人びとを重厚に描き出す」
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81入社阿部さんによると、この本は昨年英語で出した『The Martyr and the Red Kimono』(ペンギン社)を、自身で邦訳した。
このHPでも、すでに紹介している。https://www.maiyukai.com/book/20240430
阿部さんがノンフィクションライターとして世界中から注目を浴びるきっかけとなったのは、2016年春『チェリー・イングラム——日本の桜を救ったイギリス人』を岩波書店から出版したことによる。20世紀の初めに日本の桜をイギリスに紹介したイギリス人園芸家コリングウッド・イングラム(1880~1981)の生涯を追ったものだが、この本が第64回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。
その際、阿部さんの初任地京都支局の同人が日本記者クラブに集まってお祝いしたが、当時の支局長磯貝喜兵衛さん(現96歳)は「次は英語訳を出して、日英桜の秘話を世界に広めよう!」と乾杯した。
『‘Cherry’ Ingram, The Englishman Who Saved Japan’s Blossoms』は、阿部さんが加筆英訳して2019年春ロンドンで出版された。その後、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、スペイン、中国語に翻訳された。日本語を含め8カ国語である。
サクラ大使の誕生だった。
(堤 哲)